電子計測器・食品検査機メーカー大手のアンリツ(神奈川県厚木市、濱田宏一社長)は新方式のデュアルエナジーセンサを内蔵した「X線検査機HRタイプ」に新開発の魚骨検出アルゴリズムを搭載した。魚の切り身やフィレに残った厚さ1mm以下の微細な骨も高感度に検出する。
水産加工現場での「骨取り」は人手作業がほとんどで、残骨の検査も目視に頼ることが多い。作業負担が大きいうえ、見落としが発生するとクレームにつながりやすい。
魚の骨は密度が低く、魚肉との差が出ないため、従来の機種では大きな骨以外は透過画像に鮮明に写らず、検出が困難だった。たとえ骨の影がうっすらと見えても自動検出はできず、作業員が透過画像を1枚ずつ見て骨の有無を判断する必要があった。
従来のX線検査機では中央部の骨は検出できず、自動検出でき
ているのは右上部の赤い2つの点の部分のみとなる
X線検査機 HRタイプはデュアルエナジー技術と新開発の検出アルゴリ
ズムにより、厚さ1mm以下の薄い骨も高感度に検出する
アンリツの「X線検査機HRタイプ」は新方式のデュアルエナジーセンサを搭載することで、透過画像の鮮明度を大きく向上させ、低密度の薄い骨を鮮明に映し出すことを可能にした。
デュアルエナジーセンサは高エネルギー帯と低エネルギー帯の2種類の透過画像を同時に得られることが最大の特長。センサで取得した2枚の画像を差分処理することで変化のない部分を差し引き、異物だけを鮮明に検出することができる。今回の魚の残骨検査では魚肉の影響を消し込んで骨の部分の影響を抽出する。
さらに、魚骨検出に特化した新開発のアルゴリズムは複数の画像を高速で同時処理することができ、検出感度の向上だけでなく、誤検出の発生も抑えられる。
アンリツは新方式のデュアルエナジーセンサと魚骨検出アルゴリズムの組み合わせで「骨取り」の精度を高め、クレーム発生の低減に貢献する。
「X線検査機HRタイプ」はセンサの長寿命化も実現し、
TOC(総所有コスト)の低減に寄与する