工場建て替え、大型投資、「動機善なりや」
サンマルコ食品 代表取締役社長 藤井 幸一氏

 冷凍コロッケを中心に生産しているサンマルコ食品は津別工場の建替え新工場(B棟)が10日から試運転を始める。生産能力増強のためではなく、建物から設備まで一新して飛躍的に生産効率を高め、5年先、10年先に備える。同社最大の恵庭工場建設時に匹敵する大型投資について、藤井社長は次のように語る。

      藤井社長

 「幸い、以前からの借金はほとんどなくなった。今回の津別工場の刷新は社員のためでもある。このことは社員に何回も、血肉になるまで説明している。ありがたいことに若い社員は分かってくれている」。
 会社の将来は社員の将来でもある。
 さらに、藤井社長は稲盛和夫氏が第二電電設立時に自問自答した「動機善なりや 私心なかりしか」の言葉を自らに当てはめる。
 「会社はみんなのもの。なぜ利益体質にするか。それはみんなの幸せのため。それがお客様の幸せにもつながり、地域貢献にもつながる。最初から地域貢献などできない。愛社精神なんて言わずとも、自分のためになることが結果としてみんなのためになることが重要。それが『動機善なりや 私心なかりしか』。日本冷食を買収した時もそれを考えた。当社には大きすぎるが、地元の仕事をなくしてはいけない。もちろん私心もある。当社にとってもプラスになるからだ」。
 良い商品を作り、喜ばれ、利益を出し、それが皆の幸せになる。社員のモチベーションのためにも新工場に期待がかかる。

今期は91億円を

 サンマルコ食品は「80億からの再挑戦」として、昨年度からの3カ年で再度の100億円達成を目指している。
 日本冷食との合併効果が出た09年に売上げ104億円を達成した同社だが、当時は利益がともなわなかった。そこで、赤字商品の扱いをやめ、利益の出ない大口ユーザーとの取り引きを、迷惑がかからないように数年かけて解消していった。
 再挑戦初年度の前期売上げは84億7900万円(1.7%増)。今期は91億円(7%増)をめざしているが、上期は前年同期比3%増で推移した。
 ペースはやや目標を下回るが、藤井社長は100億円の目標を堅持する方針。
 「達成するのは真の100億円。安売りすれば100億円はすぐに達成できるが、それはしない。コロッケを愛しているなら安かろう悪かろうの商品を作らないはずなのに、現状ではそうした商品が市場に少なくない。数年後にはスーパーの卵パックのように客寄せパンダになることを危惧している。当社は売上げの80%がコロッケであり、コロッケを愛している。
 地に足を付けた中で企業の在り方、商品のあるべき姿を見つめ、ちゃんとした商品を売って目標を達成する。もちろん生産効率を高め、コストダウンも同時に進める」(同)。