用途広がる「クールデスク」、菓子・スーパー加工場に

 大西冷熱が開発した冷却作業台「クールデスク」は作業台の天板を冷却し、天板に載せた食材の温度上昇を防ぎ、雑菌の繁殖を抑制する。当初は、厳しい衛生管理が必要とされる食肉加工場を中心に導入が進んでいたが、菓子類の加工工程に応用している工場もある。ここ最近は特に、スーパーのプロセスセンターやセントラルキッチンからも引き合いがあるという。

冷却作業台「クールデスク」

 「クールデスク」は天板を冷却し、これに載せた食材・調理品などの温度を低温に保つ。低温の天板に触れさせることで、物の保冷や、加熱加工・調理した食材・食品を常温に可能。しかも作業する部屋の温度を過度に下げずに済む。食品工場では衛生管理上、対象物をなるべく低温に保つ必要があるため、一般的には部屋全体を過度に冷やすが、作業者には過酷な作業環境となり、労働者の定着率を低下させる一因となっている。
 このため、室温設定の調整に足踏みしているメーカーが少なくなく、食材を小出しにして作業する対応もあるが、これでは生産性と効率面が悪くなる。
 クールデスクは作業面温度を−5℃〜+5℃に設定し冷却できる。用途に応じて、この温度の幅を変更して提供もできる。同機を早くから導入している焼き鳥用の食肉加工を手掛けるメーカーでは、室温が18℃でも、作業台表面を1℃に保ち、品質管理に大きな威力を発揮しているという。
 冷凍機内蔵型と、別の場所に置いた冷凍機からブラインを循環させる別置型があり、工場の規模や用途に応じて選択できる。

焼鳥の加工場で導入されたクールデスク

 同機は2003年に開発した。当初は、食肉の加工場を中心に導入を進めてきたが、最近は菓子メーカーからも問い合わせが増えているという。菓子材料を製造するメーカーから、200℃近く熱した食材を均一に混ぜ合わせながら、早過ぎず遅過ぎず、常温まで冷やしたいという要望があり、クールデスクを高温対応に一部改良したものが導入された。
 プリンメーカーの連続冷却装置に同社の冷凍技術が導入されている。「当初、我々が考えていなかった業種からも声がかかってきます。メーカーが温度と衛生管理に注力していることの裏付けでは」(同社)と説明する。
 ステンレス天板の冷却作業台では業界唯一の製品で注目度は高い。最近も北海道の有力菓子メーカーが札幌に開設したガラス窓越しにキッチンが見られるキャンディショップに複数台採用している。
 また、スーパーのプロセスセンターやセントラルキッチンなどからも引き合いが強くなったという。同社は先日開催されたFOOMAに出展したが、「当社のブースにもスーパー関係の来場者が多かった。また、コンビニエンスストア関係者の来場も多く、クールデスクに関心を寄せていただいた」と販路の拡大に期待を寄せている。

FOOMAで質問に応じる同社担当者、会期中関心を寄せる来場者が多かった

 フードエンジニアリングタイムス(FEN)2014年7月2日号掲載