食品ロス削減を実証、IT技術で個別に値引き販売

 日本総研や自動認識システムメーカーのサトーなど5社は食品1つひとつを賞味・消費期限別に在庫管理しながらダイナミックプライシングを活用した値引き販売の実証実験を佐賀県唐津市内のスーパーマーケット「まいづるキャロット浜玉店」でこのほど開始した。経済産業省の委託事業。25SKUのパンを対象に2月26日まで実施し、サプライチェーンの効率化と食品ロス削減の効果を検証する。

 商品管理は入荷時に賞味・消費期限を持つ2次元バーコードを印字したラベルを貼り付けて行う。ラベルの発行データはダイナミックプライシング専用のITツール「サトー・ダイナミック・プライシング・ソリューション(SDPS)」に取り込む。

 SDPSは一般的なSKU単位ではなく、SKU×賞味・消費期限単位での在庫管理を可能とする。電子棚札を使用し、期限別の在庫情報に応じて価格表示することで、棚札の差し替え作業や値引きラベルの貼り付け作業が不要となる。


 食品の個別在庫管理システムとダイナミックプライシングを活用した実証実験の全体像

1日複数回、価格を自動設定

 従来の20%オフ、40%オフといった値引きを一律に行わなず、より細かい値引き率で何度でも価格変更ができるのが大きな特長。今回の実証実験ではあらかじめ設定した価格改定のルールに基づいて1日複数回、在庫状況を踏まえながら自動で価格設定を行う。その際、同じ商品でも賞味・消費期限の差に応じて価格差を付ける。

 こうした手法を活用することで、店舗業務の負担がどの程度軽減できるか、売り切りを効果的に行えるかどうかを検証する。さらに、賞味・消費期限別の売れ行き情報を製パンメーカーと連携することで、メーカーの見込み製造の精度を高め、食品ロス削減がどの程度実現できるかも検証する。

 実証実験にはシステム設計・運用設計を担当する今村商事、POSシステム改修の西日本イシダ、実施場所を提供するまいづる百貨店も参画している。