生産は全８ライン、月産700ｔ、味にこだわる
ニチレイフーズ 長崎工場（２）
現在の長崎工場の生産ラインは以下の全８ラインとなっている。
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主力品はなんといっても春巻である。独自技術を生かしてお弁当のおかずに添えてもパリパリの食感が得られる優れものだ。ＮＢ（自社ブランド）のほかＰＢ（顧客ブランド）向けも生産している。日産46万本、数量比で長崎工場全体の30％を占める。
次に多いのがデザート類。ゼリーなどのカップデザートで学校給食向けが多い。１日20万個、数量比で23％。春巻とデザートの２品目で長崎工場の生産数量のほぼ半分を占める基幹商品である。
かき揚げは季節商品で年越しそば向けがメイン。年末需要を控えた今が繁忙期である。12万個、16％。
ほかには原宿ドッグ15万本12％。ブイヨン・コンソメ・スープ・ソースが合わせて10％、エビチリが７万パック、５％。
合計日産で約44ｔ、月間の生産量は700ｔになる。
厳しい入場儀式
従業員食堂には壁面に生産ラインごとの日々の生産情報が提示してある。歩留まりや廃棄についても表示してあるので、他ラインとの良否が一目瞭然である。従業員全員の体調管理も自己申告で記入するようになっている。
粘着ロール掛け、手洗いののちエアーシャワー室を通って入場する。粘着ロール掛けはタイマーをかけて一定時間やる。エアーシャワー室は３人ずつ入ってエアーを浴びるのだが壁面に粘着テープが貼ってあってゴミが吸着するようになっている。最後に靴底のゴミを吸い取るための吸着ローラーを通る。ローラーが掃除機のようにゴミを吸い込むようになっているのが目新しかった。船橋工場で採用していたのを導入したという。
こういった「入場儀式」はどこの工場でも行っていることだが、より効果的、徹底的に行えるよう向上心をもって取り組んでいることが感じられた。
原宿ドッグ生産ライン
見学者通路の窓から成型・焼成ラインを見ることが可能。生地は前処理行程から送られてきたものを成型・焼成する。15アイテムを生産する。
清潔区、汚染区を床の色で区分けしている。また、ベテランと研修生はエプロンの紐で色分けする。新人にはベテランが付き添い、出来栄えをチェックしつつ指導していた。
ブイヨン、コンソメ、スープ生産ライン
ブイヨンは鶏ガラや香味野菜を煮込んで作る。鶏はブロイラーと廃鶏、香味野菜はにんじん玉ねぎ、セロリなど。微妙に味を左右する製品だけに原料の鮮度、質にはこだわる。また製造法も時間短縮できる加圧式ではなく常圧抽出で行う。このほうが手間はかかるが澄んだブイヨンが作れる。良質な製品を作るためには材料も製法もこだわるのが長崎工場方式である。
デザート生産ライン
デザート仕込み室は異物混入を避けるため陽圧状態に保っている。
かき揚生産ライン
玉ねぎ、葉大根、にんじん等野菜をカッティングしたのちバッター粉をまぶし、フライヤーへ。カットした玉ねぎは短時間だが浸水をして水分の均一化をしたのち成型、揚げ工程となる。成型は５個一列の整列機に充填し、間歇移動でフライ工程を通す。完全に揚げるもの（一度揚げ）と顧客が揚げる余地を残した（二度揚げ）がある。一度揚げは軽く揚げるため、生揚げにならず、しかもしっかりと熱を通すようデリケートな製造技術が必要とされる。
年末需要に備えて作りだめをしているかき揚げ
油調後、ベルト上を流れるかき揚げ
春巻生産ライン
ずらりと11台の成型機が並んだ光景は壮観である。１台で毎分50個の生産が可能。バッターが熱をもったドラムに張り付き、皮部分が焼きあがる。この皮を切断し、具を巻いて２台の連続式フライヤーで揚げる。
油調後にフリーザーで冷凍、金属探知機、ウェートチェッカー、エックス線探知機を通して包装工程へ。
ニチレイ方式は金属探知機をすべて２回通す。春巻はさらにエックス線探知機により金属以外の異物チェックと入り数チェックを行っている。
近隣の環境汚染への対策として油煙はオイルミストキャッチャーにより水のフィルターを通して匂い等の外部拡散を防止している。
成型後の春巻
春巻をフライヤーへ投入するためにベルトコンベアで搬送する
新商品の開発に挑む
瓜生登工場長の抱負
「昨年の春に第一工場を改築した折、見学者通路を整備した。工場を見てもらうことで、当社の安全安心や品質管理への地道な取り組みを見てもらい、さらに冷凍食品のメカニズムについて理解を深めてもらいたい。毎年児童や地元住民など2000人規模の見学者を迎えたい。ヘアーネットからマスク、白衣など着替えるところからローラー掛け、エアーシャワーなど体験するのが新鮮な驚きになっているようだ。」
「今後の課題については�ヾ�存品の改良改善。高さのあるかき揚の開発に取り組む、�⊂ι碧槁堯�営業本部と連携して新しい惣菜商品を開発、�８興疋疋奪阿老曽�、名称を含め新たな展開を図る、�た靴靴ね良�デザートへの挑戦、�ゥ�ップゼリーのさらなる拡大に挑む。
震災で被災した他メーカーの委託生産も最近スタートしたが、まだ生産余力がある。全国市場へ向けて長崎工場の存在感をアピールしていく」。