特殊冷凍機の新型モデル、IoT化へ第一歩

 特殊冷凍技術を活用したビジネスモデル「Freezing as a Service」を展開するデイブレイク(東京都品川区、木下昌之社長)は自社開発の特殊冷凍機「アートロックフリーザー」の新型モデルを開発した。このほど都内で開催された「FOOD展2022」で実機を初披露し、受注を開始した。

 −35℃以下の微細な乱気流(冷気)が食材を包み込むようにして凍結する「マイクロウインドシステム」やデフロスト(霜取り)が発生しにくい「アンチフロスト機構」、外気温の変化による影響を電子制御して凍結性能を維持する「スマートフリーズ機能」などの従来の性能向上に加え、今回は新たに「フリーズプロテクト機能」と「フリーズアシスト機能」を搭載した。

「アートロックフリーザー」の新型モデル、冷凍機には見えない革新的なデザインは調理現場
で働く人たちのモチベーションを高めるねらいもある

 「フリーズプロテクト機能」は庫内に設置したセンサーが庫内温度や外気温、運転圧力などの稼働情報を取得することで、故障を引き起こす無理な運転や冷凍品質の低下を招く使い方を未然に防ぐ。万が一の故障時には原因を速やかに特定し、素早い対応を可能にする。

 「フリーズアシスト機能」は凍結の進捗状況や完了したことなどを冷凍機の外装に埋め込んだLEDライトが光で知らせる。離れた場所で作業をしていてもひと目で確認できるため、頻繁に庫内を確認する必要がなくなり作業の効率化や品質の安定化を実現する。

次はAI自動運転モード、開発を本格化

 デイブレイクはマイクロソフト社のスタートアップ支援プログラム「Microsoft for Startups」に今年3月に採択されて以降、「アートロックフリーザー」のIoT化に向けた開発を進めてきた。

 木下社長は以前、本紙の取材に対し「冷凍庫内の温度や食材の重量データ、さらに映像のモニタリングデータを収集し、冷凍の時間軸や庫内に投入できる食材の量などをビッグデータ化したい」と語っていた。

 今回のアップグレード機能は研究成果の1つに過ぎず、今後は各種センサーで収集したビッグデータとAIを組み合わせた「AI全自動運転モード」を実装するなど、本格的なIoT化に踏み出すとみられる。

庫内センサーが稼働情報を取得する「フリーズプロテクト機能」(左)と、LEDライトが
光で稼働状況を知らせる「フリーズアシスト機能」のイメージ