省エネ大賞発表、レトルト食品工場は廃熱回収でＣＯ２大幅削減
（一財）省エネルギーセンター（東京都港区）は省エネ推進の優れた取り組みや省エネ性能が高い製品・ビジネスモデルを表彰する「2022年度省エネ大賞」をこのほど発表した。例年並みの110件以上の応募があり、省エネ事例部門は28件、製品・ビジネスモデル部門は24件が受賞した。
食品産業関連では総合食品メーカーのヤマモリ（三重県桑名市、三林圭介社長）が中心となってジャストエンジニアリング（三重県四日市市）、三浦工業（愛媛県松山市）の３社で2014年から取り組んできた松坂工場（三重県松阪市）での省エネの取り組みが高く評価され、省エネ事例部門の審査委員会特別賞を受賞した。
松坂工場はレトルト食品の生産量で日本最大規模を誇り、年間１億9000万袋、国内のレトルト食品の約10％相当を生産する。そのため、製造時に蒸気エネルギーを大量に消費することが課題だった。
省エネの取り組みが高く評価されたヤマモリの松阪工場
そこで、３社は2014年から製造時に発生する熱エネルギーの再利用をテーマに�々盡�率蒸気ボイラーへの更新（14年、18年）、�⊂�気加熱式温水製造における廃熱回収（16年）、��蒸気ボイラー・アキュームレーターの最適制御（19年）、�で�回収式エアコンプレッサの導入（21年）に取り組んできた。
中でも熱回収式エアコンプレッサは、これまで廃棄していた熱の大部分を回収してボイラーの給水に活用することで、ボイラーの稼働に必要な燃料の削減につなげた。これだけでＣＯ２排出量を年間138ｔ減らすことができる。� 銑い料澗里亮茲蠢箸澆任聾玉�換算で年間175klの削減を実現した。ＣＯ２排出量換算では年間572ｔに上る。
ヤマモリは「（常温流通、長期保存、時短調理など）環境負荷の少ないレトルト食品という商品設計と、省エネを通して環境負荷を軽減する製造ラインの設計という二重の意義がある」とのコメントを出し、受賞を喜んだ。
ＡＩＨＯ、フクシマガリレイも受賞
食品機械関連ではＡＩＨＯ（愛知県豊川市、寺部良洋社長）とフクシマガリレイ（大阪市、福島豪社長）が製品・ビジネスモデル部門の省エネルギーセンター会長賞を受賞した。
ＡＩＨＯの「業務用高効率洗浄機」はコンベヤ式の食器洗浄機で、主に病院・福祉施設向けに提案している。コンベアの形状や水切りブロアの改善、仕上げすすぎ水のカスケード利用、断熱の強化、排熱の回収利用などに工夫を加えた。
これによって、従来機に比べて水使用量80％、放熱量25％の削減を実現し、75％のエネルギー削減を達成した。高温多湿な作業環境の改善にも貢献する。
フクシマガリレイの「ブラストチラー/ショックフリーザー100Ｖ」は単相100Ｖ電源でありながら−40℃の急速冷却・凍結を可能にした。インバータ圧縮機を採用し「電流保護機能付き加速冷却制御」を搭載した。冷却運転時の運転電流を監視し、運転電流を15Ａ以下に抑えながら最大限の冷却を実現する。三相200Ｖ機種に比べて１サイクルあたりの消費電力量を約26.7％削減する。
冷媒は地球環境にやさしいグリーン冷媒のＲ448Ａを採用した。従来のＲ404Ａに比べて地球温暖化係数（ＧＷＰ）を約65％も削減する。 審査では「コロナ禍によって変化した飲食業界において普及が期待される」と評価された。
省エネルギーセンターは「ＥＮＥＸ2023 第47回地球環境とエネルギーの調和展」を東京ビッグサイトで２月１〜３日開催し、初日に表彰式を行う。会期中は今回の受賞企業の製品内容を展示する。
ブラストチラー/ショックフリーザー100Ｖ「ＱＸＦ-005
ＳＦＬＴ」（フクシマガリレイ）