ゼロテンション溶接のベルト、日本に本格上陸

 ケイズベルテックはスパイラルフリーザーに張られるワイヤーベルトのヘッダーにゼロテンション溶接を施した「Omni−Pro」を日本のユーザーに呼びかけている。これによりリンクの破損が大幅に軽減、異物混入に繋がるスパイラルシステムのドラムスラッドの損傷を解消、米国では主流になっている。
 従来型のワイヤーベルトはヘッダーをベルトの進行方向からのみしか溶接していないため、逆側から働くベルト自身の張力と相反し、ひびが生じる原因となっていた。リンクの損傷は避けられないものと業界は長く認識していた。
 また、不均一に溶接されるため、スパイラルローテンションシステムの内周側にある樹脂性ドラムスラッドに接触。ドラムスラッドを傷つけたまま稼働するため、削れた樹脂が粉となり食品に腐蝕する異物となる懸念があった。

 従来の問題点を解決する「Omni−Pro」はリンクにレッグ(脚)を施すことで、滑らかな部分がドラムに接触するようにした。そのため、樹脂を削ることなく稼働、異物混入の原因を根絶した。ゼロテンション溶接(360度のラウンド溶接)のため、テンションが均一になり、ベルト自身に余分な負担を与えない。また、ヘッダーは隙間がないため、食品のかすが入り込むことで発生するバクテリアの心配を解消、ベルトの洗浄を容易にできるようになった。従来品との交換互換性がある。

 「Omni−Pro」はスパイラルフリーザーに張られているベルトで世界のトップシェアを占める米国Ashworth社が5年ほど前に開発。以来、米国では導入が進んでいるが、日本では出遅れていた。昨年9月、ケイズベルテックがAshworth社と日本の代理店契約を結んだことをきっかけに、日本のユーザーに導入を加速させている。
 フリーザーや蒸し機、乾燥機にスパイラルコンベアが数多く採用されており、国内では現在2500基ほど稼働している。ワイヤーベルトはスパイラルコンベアの心臓部ともいえる重要な役割を果たしている。