真空断熱材を採用、保持時間を延長
「定温輸送パッケージTACPack Premiumシリーズ」
化学メーカー大手カネカのグループ子会社で、蓄冷・蓄熱事業を手がける玉井化成��（北海道小樽市、佐藤圭司社長）は真空断熱材を採用し、定温保持時間を約２倍に伸ばした新製品「定温輸送パッケージTACPack Premiumシリーズ」をこのほど販売開始した。
従来から提供している「TACPackシリーズ」は、カネカと共同開発した潜熱蓄熱材「パッサーモ」を断熱容器に搭載したパッケージングシステムで、−50℃〜＋37℃の範囲で温度を一定時間維持する。外気温が−10℃〜＋35℃の環境下では最大160時間維持することができ、食品や医薬品などの国内・海外輸送で高い評価を得ている。
新製品は真空断熱材を採用したことがポイント。これまでは発泡ポリスチレン系を使っていたが、夏場の冷蔵温度帯の保持時間に限度があり、長時間輸送に対応できないといった課題があった。
真空断熱材は断熱材の周囲を真空状態にし、気体による熱伝導を限りなくゼロに近づけることで断熱性能を高める効果が期待できる。今回はシリカ粉体系を採用した。国内で主流になっているグラスウール系に比べて重量が軽く、内部圧力の上昇が抑えられるという。この真空断熱材と潜熱蓄熱材「パッサーモ」を組み合わせることで、従来品に比べて定温保持時間を約２倍に延長することに成功した。
潜熱蓄熱材は物体が個体から液体、液体から気体に変化する（相変化）際の熱エネルギーを授受し、断熱容器内の温度を一定に保つ役割を持つ。断熱容器内に搭載する「パッサーモ」の種類（融解温度）は−50℃〜＋37℃の範囲で15種類あり、断熱容器内の温度を任意に設定することができる。
今回の「Premiumシリーズ」では「２〜８℃」と「−40℃以下」を先行発売し、今後は「−60℃以下」、「１〜５℃」、「15〜25℃」をラインナップに加える。