えびの目利きが開発した究極のえびフライとは…
「築地社員食堂のまかない海老フライ」

    「築地社員食堂のまかない海老フライ」

 中央魚類(東京都江東区)はえびの目利き人が原料から加工までこだわって開発した昔ながらのおいしいえびフライ「築地社員食堂のまかない海老フライ」(8尾入り)を今春から販売している。衣の比率を40%に抑えることで、えび本来のおいしさと食感を楽しめるのが特徴。試食販売も好評で、リピーターが急増している。

 同社冷凍部冷凍第二課の西牟田健吾海老・カニチームリーダーは「おいしいえびフライを手軽に食べたいという潜在需要はかなりある」と考え、目利き人の視点から最もおいしいと思えるスペックのえびフライを商品化した。
 原料のえびはインドネシア産バナメイえび(26/30サイズ)を使用。インドネシアの加工場では、水揚げしたばかりの新鮮なえびを生のまま加工し、一回凍結のえびフライに仕上げている。
 保水加工されているえびが多い中、保水加工を一切せず、えび本来の味と食感をそのまま生かしている。

 工場では殻むきなどの下処理からパン粉付けまでをすべて手作業で行っている。
 おいしさにこだわった加工方法として、“ビッグヘッド加工”を採用。筋切りを行い、尾に近い部分だけを伸ばし、先端部分はそのままの太さを残すという独自の加工技術を施している。技術力と繊細さを要する加工で、長年加工場で働くベテランの工員が多数在籍している同工場でしかできない。

 ビッグヘッド加工にする理由について西牟田氏は「ひと口めにしっかりとしたえびの歯ごたえと肉厚感が楽しめる」。形にもこだわり、まっすぐなえびフライではなく、あえてバナナのように自然にカーブした形状にすることで、手作り感を出している。

えび6対衣4の黄金比率を実現

     パン粉付けまですべて手作業

 日系企業がベトナムで製造した冷凍パンの塊を調達。パン粉付け直前に粉砕した生パン粉を使い、ふんわりサクサクの食感のえびフライに仕上げている。

 一般的な冷凍えびフライの衣比率は約60〜70%だが、同製品の衣比率は約40%と驚異の低さ。西牟田氏は「全体的なバランスを考えると、えび6対衣4がえびフライとして最もおいしい黄金比率」と語る。

 衣が薄く、身がぎっしり詰まっているため、パッケージにはえびフライの断面写真を掲載。「身がぎっしり」と大きく表示し、商品の魅力を消費者へ訴求している。
 「自信を持って断面を見せられるのが強み」(西牟田氏)。

 ネーミングやパッケージデザインにも頭をひねった。築地市場の時に、社員食堂でおいしいえびフライが出ると、みんなが大喜びするほど人気メニューだったことから、商品名を考案した。
 パッケージは売場で目立つデザインにして、えびフライのおいしさがひと目でわかるようにした。
 参考売価は1パック税別498円。価格設定について西牟田氏は「1パック398円の冷凍えびフライが一般的。少し高めであるが、その分こだわったえびフライでおいしさを追求している。高くておいしいのは当たり前。値ごろ感が重要で、ワンコインで購入できる売価にこだわった」という。