生産者と一体で「ライスシート」商品化

 生協向け「香港ギョーザ」が主力の冷凍餃子・焼売メーカー、(株)ヨコミゾ(さいたま市)は、新たに開発した冷凍米飯「ライスシート」の本格販売に乗り出した。冷凍米飯用に特別に栽培した「冷凍適合米」と水だけで、つなぎを一切使わない「ライスシート」はオリジナリティが高く、他社製品と競合しない。展示会に出展するなど積極的に認知度アップを図っている。

「ライスシート」のアレンジ例

 ライスシートは熊本県山鹿市の生産者、木村安夫さんが冷凍米飯用に特別栽培した「ヒノヒカリ」と水のみを使い、9cm四方の正方形、厚さ7mmのシート状に加工した冷凍米飯。
 もともと、アレルゲン対策として、米粉で餃子の皮ができないかと農家を回っていた時に、コンサルタントから木村さんを紹介してもらった。木村さんは日本の農業の現状に危機感を抱き、近隣の農家を集めて勉強会を開くなど、農業の新しい道を模索していた。勉強会をさらに発展させようと、2年前に農業生産法人(株)ライスフィールド山鹿を設立。地域の農業を守り、活性化するための問題解決に尽力する拠点を設けた。付加価値の高い冷凍適合米の生産も解決策の1つと言える。
 結果的に米粉で餃子の皮を作ることは断念したが、5年の試行錯誤を経て冷凍適合米の栽培方法を確立した。
 ヒノヒカリは通常の米に比べて水分含有率が低いせいか、解凍しても白蝋化しにくい。品質を維持したまま長期冷凍保存が可能。電子レンジで加熱すると、副原料を使っていないため、米本来の風味と味わいが楽しめる。

行田市に冷凍米飯専用工場

 ライスシートは揚げる、和える、蒸す、焼く、挟む、巻く、乗せるなど多彩なアレンジが楽しめる。このほど自社WEBサイト内に開設した冷凍米飯事業サイトでは「おにぎらず」やライスサンドの作り方、レシピ集を掲載している。
 ヒノヒカリに埼玉県産大麦「もっちりぼし」を配合した「大麦ライスシート」もラインナップしている。
 冷凍餃子・焼売を製造するさいたま市の本社工場とは別に、行田市にあった葬祭会社のセントラルキッチンを買い取り、冷凍米飯の専用工場を構えた。スライサーなどの生産設備はすべて特注。費用は農水省、経済産業省の農商工等連携事業計画の認定を受けて得た助成金を活用した。
 現在、ミクリードの業務用仕入れカタログで「おにぎらず ご飯シート」(12枚、税別730円)として販売しているが、業務用・市販用を問わず、さまざまな販路を模索している。本社工場の直売所では、餃子、焼売に加え、ライスプレートで餃子の餡をサンドした「餃子ライスバーガー」を試験販売している。餃子の餡はマヨネーズとウスターソースで味付けを変え、「なかなかの出来」(同社)と自信を示している。