パナソニックくらしアプライアンス社は京都大学大学院との共同研究で開発を進めている「常圧凍結乾燥技術」を使って乾燥食品のプロトタイプを開発した。常圧凍結乾燥技術は常温で長期保存が可能になるほか、色や香り、栄養成分の変化が従来の乾燥技術に比べて小さいなどの特長を持つ。
パナソニックは和食の海外輸出や機内食、宇宙食、災害食への応用展開に加え、規格外の野菜や未利用魚の可食化で食品ロス削減にも貢献できると期待する。
常圧凍結乾燥技術は京大大学院工学研究科化学工学専攻の中川究也准教授と共同開発を進めている。冷凍した食品を−20℃の乾燥した冷気にさらすと氷が昇華して乾燥が進む現象を利用し、常圧下で温度を独自のアルゴリズムで制御することにより、水分活性を0.6以下まで乾燥させることができる。
この技術で乾燥させた食品は香りが良く、1カ月間の常温保存が可能になるほか、水分活性の調整で食感の異なる乾燥食品をつくることも容易という。
常圧凍結乾燥技術を使って乾燥した「鰻の炊き込みご飯」、食べ方は炊飯するだけ
常圧凍結乾燥技術はどのような食品に活用できるかについては、料理研究家と商品開発を進めている。「香りが残りやすい」という特長を活かすために、まずは「鰻の炊き込みご飯」と「雑炊」、「ぜんざい」の3品を乾燥食品のプロトタイプとして完成させた。
雑炊は湯を注いだ際に三つ葉や松茸の香りが従来の製法よりも広がり、出来立ての状態を再現した。パナソニックは「常圧凍結乾燥は香りを残したい食材で強みを発揮することが確認できた」としている。
「鰻の炊き込みご飯」は家電と食のサブスクリプション「foodable」で今年上期中に限定販売する予定という。
乾燥した「雑炊」は湯を注ぐだけで食べられる
乾燥した「ぜんざい」も食べ方は湯を注ぐだけ