カルビーの廃食油をバイオ燃料に

 太章興産(埼玉県鴻巣市)は廃食油からバイオディーゼル混合燃料B5を精製する設備を本社敷地内に建設、3月稼働する。原料の使用済み食用油はカルビーと提携し、同社の下妻工場から調達する。

      篠崎社長

 従来からバイオディーゼル燃料(BDF)100%(B100)を精製する設備を設置していたが、そこで精製した燃料と軽油と混ぜ合わせて自動車用混合油(B5)にする製造設備が完成した。月間90klのB5燃料を精製する。
 当面は30台ある自社グループの配送車に使用するが、将来的にカルビーの物流関連会社での採用も考えている。原料の調達から精製、使用という資源の循環型活用をめざす。
 大手コンビニエンスストアも配送車両に使用を検討しており、最終調整に入っている。
 燃料として使用車両が限定されるBDF100%と違い、B5は軽油仕様の車にも使えるため、より実用的といえる。
 また、BDFを燃やすとCO2が発生するが、油の原料となる植物が成長過程で大気中のCO2を吸収し、しかも化石燃料に比べて環境負荷が小さいため、注目が集まっている。
 17日開催した竣工式で挨拶した太章興産の篠崎悦朗社長は「震災以来、発電量の確保に関心が集まっているため、CO2削減を掲げる声が小さくなってしまったが、復興とともに再び盛り上がるだろう。CO2を5%削減するのがいかに大変かを痛感している。しかし、B5燃料は使っているだけでCO2を5%削減できる。このため、特にISOを取得している事業者が期待を寄せている。今後、環境対策に役立てられるよう輸送業界を皮きりに働きかけていきたい」と語った。
 設備を施工したバイオマス・ジャパンの内田勝巳社長は「懸念だった原料もカルビー社から調達でき、安定して精製できるだろう。B5燃料を精製するシステムは全国に20カ所しかなく、先進的な取り組みだ。こうした活動が全国に広がってほしい」と期待を示している。

化石燃料に比べて環境負荷が小さいB5燃料に注目が集まっている。
竣工式にはバイオマス・ジャパンやカルビーら、多くの関係者が出席した