シーネットと三菱電機ビジネスシステムは食品卸売業向けのセミナーを都内で18日開催した。倉庫管理サービスと基幹システムを連携して「現場ロス」を洗い出し、商品別利益の「見える化」を図るもの。卸・小売をはじめ食品メーカーや物流関係者などが参加した。
アルノの岡田社長
物流マネジメントや流通ソリューションのコンサルタントを手がけるアルノの岡田英男社長は経営者主導による現場を巻き込んだ利益改善の諸策について講演した。「物流は企業活動を写し出す鏡」と岡田社長は位置づけることで、「全体最適を目指した改革はセンター在庫を最適化することから始まる」と説明した。
勘と経験による発注が常習化しており、発注勧告などの在庫管理支援機能が不足している点、庫内作業においては在庫が分散管理されているため、ロケーション(アドレス)管理ができない点、配送においても積み込み時間が長い、車輌の搭載率が低い、配送車輌の仕様統一がされていないなど現状の課題点をあげた。「経営者自らが現場に介入して現状を把握すること、現場の中核となる中間マネジメント層を教育すること」とポイントを指摘し、在庫管理のモニタリングや配送頻度、エリアの見直し、共同配送を検討できると強調。昨年初めから岡田社長が指導している企業の実績を表とグラフを交えて説明した。
三菱電機ビジネスシステムの酒類・食品ビジネス推進グループの福岡住晃氏は利益管理システム「シップマイスター」について説明した。メーカーや仕入れ先から受け取るリベートと得意先に支払うリベートを加味して利益(Net利益)を算出。システムで計算される受け取りリベートと得意先に支払うリベートを粗利に加味して実態に近いNet利益を算出し、分析に利用する。全社時系列分析により管理目的に原因を追求し、問題箇所を早期発見する。支店別や営業担当者を個別に洗い出すことができ、導入先では毎月の営業会議にも活用されているという。さらに得意先をランク分けし、効率的な営業活動を支援する。。
シーネットの宇都宮武則営業部マネージャーは同社が手がける「ProSaaS倉庫管理サービス」について説明した。賞味期限管理と鮮度管理を充実させることで、食品業界で致命的となる過剰在庫の防止や廃棄ロスを低減するという。出荷時に発揮する賞味期限日の「逆転防止」機能は、得意先に前回納品した賞味期限日より古い商品を出荷させない。「得意先の商品ごとに前回出荷した賞味期限日を記録しており、次回の引当時に、前回の賞味期限日より新しい日付を引き当てる仕組みとなっている」と説明した。
「不動在庫」の検査機能は庫内に滞留している在庫をリストアップして「入庫日」、「最終出荷日」から任意の期間荷動きのない商品を割り出すシステム。また、「賞味期限の警告」機能は賞味期限や出荷期限に近付いた商品をリストアップする。「システム化には多額の投資が必要だと思われがちだが、少ない投資でできるのが強み。実際に導入している企業では成果をあげている」という。