新型コロナの影響で日本国内でもテレワークの本格導入が広がっているが、手探りの中でスタートしたという企業は少なくない。テレワークの実態はどうなのか−−。コンサル会社などによるアンケート調査からは、意外な結果や課題が見えてくる。
テレワークに欠かせないWeb会議ツール。最も選ばれているアプリは何か。市場調査会社のICT総研(東京都千代田区)がネットで行った「ITサービス利用動向調査」(4月17〜21日、回答者数約4000人)によれば、利用率は「Zoom」(ズームビデオコミュニケーションズ)が11%でトップ、次いで「Skype」(マイクロソフト)が7.7%、「Google Meet」(グーグル)が5.3%と続いた。重視する内容を聞いたところ、1位が会社の指示、2位が使いやすさ・操作性、3位が映像・音声の品質となった。
満足度では1位「Zoom」、2位「Google Meet」、3位「Skype」の順だった。
一方で、コロナ収束後も継続して利用したいアプリについて尋ねた結果、マイクロソフトの「Microsoft Teams」が75ポイントで1位を獲得した。以下「Zoom」(70.3ポイント)、「Skype」(68.1ポイント)が続いた。
ネット広告事業を展開するFringe81(東京都港区)の子会社で、HR(人事)テック事業を手がけるUnipos(同)は、上場企業の管理職者ら800名を対象に「テレワーク長期化に伴う組織課題」(4月24〜27日)についてネットによる意識調査を行った。
それによると、テレワーク実施企業のうち48.6%が2月以降にテレワークを急きょ導入したと回答した。緊急事態宣言が発出された4月7日以降に開始した企業の割合は14.1%だった。
テレワークの前後で生産性がどう変わったかについて尋ねたところ、一般社員の44.6%が「チームの生産性が低下した」と回答し、「生産性が高くなった」の7.6%を大きく上回った。管理職では38.7%が「低下した」と回答した。
また、「テレワーク前より、部下の仕事ぶりがわかりづらい」と回答した管理職は56.1%、一般社員も48.4%が「上司や同僚の様子がわかりづらい」と回答した。
緊急事態宣言が延長されたことに伴うテレワーク長期化の課題としては「コミュニケーションの取りづらさ」、「社内連携」、「モチベーションの維持管理」が上位に挙がった。
一方で、コロナ収束後もテレワーク推進を希望するか聞いたところ、管理職56.1%、一般社員41.0%が「とても望む」、「やや望む」と回答し、「まったく望まない」、「あまり望まない」と回答した管理職14.1%、一般社員21.9%を大きく上回った。