手作り感が特徴だが、人手不足が悩みの種
すぐる食品深川工場
すぐる食品（東京、宮崎勇二社長）は北海道に深川工場、士別工場（士別市農畜産物加工�蝓法�中標津工場の３工場を持つ。浜松と新潟にも工場を持つが、北海道の３工場は小ロット対応と手作り感のある商品を生産している。中でも北海道で中心的な存在が深川工場（深川市、越智雅樹工場長）。オムレツ類の「アンサンブルエッグ」が好調だが、近年は人手不足と卵の価格高騰が悩みの種という。
初めての外国人実習生
「戦力になる」と来年も採用を計画
すぐる食品深川工場
「人手不足でとうとう外国人実習生を入れました」と越智工場長は語る。
食品工場で外国人研修生は珍しくなくなったが、深川工場は一昨年まで日本人だけだった。
深川市は高速道路で旭川には30分もかからず、それほど辺ぴな地域ではない。
人口は２万人ほど。昔から工場で働いてきた従業員は定着しているが、年齢層が上がり自然に減る一方で、若い人が入りにくかった。近隣のチルド野菜工場がしきりに増員していることもあって、人手確保の競争はより厳しくなっている。
現状、工場で働く日本人は派遣社員を含め30数名だが、10年ほど前に工場を増設した当時は50名弱が在籍していた。生産ラインの合理化などでしのいできた。
ベトナムからの実習生を３名受け入れたのは昨年５月。まじめに働き、「帰りたくない」と言うほど気に入ってくれており、日本語もよく話せるのでなかなかの戦力になっている。来年もさらに３名を受け入れることにしたという。
手作り型商品が多いのでなかなか自動化は難しいが、包装設備は一昨年新しい深絞り装置を導入した。
同工場は３台の深絞り包装機を持っているが、各工場で対応するフィルムのサイズが異なるため、商品を移管すると規格も変えなくてはならなかった。そこで、既存の古い機種と入れ替えた。
深絞り包装機の入れ替えを機に、日付印刷を行うインクジェットプリンターを２台導入した。導入により３ライン全てがインクジェット方式になった。
押印式だと日付が印刷されているかをチェックしないといけないが、インクジェット式にすればそうした作業が軽減できる。
現状でテンパンの自動洗浄装置を特注で作成しているところ。包装機を増やす計画がある。
働く環境整備にも前向きで、今年はスポットクーラーを４台導入した。
生産は順調。主力商品の「アンサンブルエッグ」はこのところ販売が前年比で伸びており、年間を通しても「そこそこ上回るのでは」と越智工場長。
「ただ、人が足りなくて在庫が溜まらない。例年は学校の夏休み中に在庫を増やしたが、昨年はほとんどそれができなかった」（同）。
生産は増やせるが箱詰めなど川下の作業で人手が足りず、10月までは大口の注文もあって生産に追われたという。
農産物の収穫が終わった昨年11月に６人増員でき「ようやく追い上げができる」（同）と一息つくことができた。
スクランブルエッグを作る、人手作業が少なくない
包装機を新しくした
鶏卵の高騰がコスト増の主因に
昨年は秋まで在庫作りに追われたものの、深川工場の生産量は安定している。一昨年の胆振東部地震では電力供給が午後３時には回復し、一部生乳の搬入が止まって作業を土曜日に振り替えたが、全体的に大きな影響はなかった。それよりも、昨年夏の大雨の影響で全国的に鶏卵の価格が上昇したことが大きく影響している。
「一時期はキロ当たり25円も値上がりした。月単位で計算すると非常に大きなコスト増でそれが続いている。一昨年も高騰したが、昨年は前半まで良い感じの価格で推移していただけに残念」（同）という。
同工場では学校給食向けの商品が多いが、数年前から高齢者施設向けの商品が増えている。
新商品のひとつ「やわらかほうれん草オムレツ」はカルシウムと鉄分を強化した学校給食向け商品だが、高齢者施設にも好評を得ている。