シャープは“除電”に特化したプラズマクラスターイオン発生機を10月上旬から発売を始める。食品工場の包装工程など、静電気が原因による異物の付着を防ぐのに役立てる。
除電特化型プラズマクラスターイオン発生機「IG-301JF」
同社のプラズマクラスター技術の仕組みは、(1)発生機から放出されたイオンが屋内のカビ菌や浮遊菌の表面に付着し、酸化の強い「OHラジカル」に変化、(2)表面のたん白質から瞬時に水素(H)を抜き取り、タンパク質を分解、(3)抜き取った水素(H)とOHラジカルが結合し、水(H2O)になって空気中に戻る――という性質を応用している。
その結果、OHラジカルの酸化力によって「除菌・除臭」作用があるほか、空気中の水分による「肌保湿効果」もある。
新機種は従来機の約150倍の速さで静電気の高速除去ができる機能を持たせた。
食品工場や製薬工場、フィルム工場など多くの製造業では除電ニーズが高く、静電気が原因による異物の混入や、“チョコ停”の発生による歩留まりの低下など対策が求められている。
そのため除電器は、食品工場では食品を包装する工程で静電気が原因による異物の付着を防ぐために導入されている。しかし、特にコンベアを利用すると、包装工程の時間が短いため、高速で静電気を除去できる性能が求められていた。
新機種は風速を高めることでプラズマクラスターイオンが包装フィルムなどの対象物に、より早く届くためイオン濃度の減衰を抑え、約150倍の高速除電が可能となった。
また、正(プラス)と負(マイナス)の位置を変えた電極針を2列に並べた「パラレルパルスDC方式」を採用。このためイオンバランスがよくなり、どちらか一方のイオンが増えることによる帯電を抑えるなど、除電機能を格段に高めた。
ただ、「除電を行った後も、様々な要因で静電気が残ってしまったり、再度帯電してしまうケースがある」(同社)として、同社がすでに展開している「天井埋め込み型」や「壁掛け棚置き兼用型」、「床置き型」のプラズマクラスターイオン発生機と併用することで、工程空間内のイオン濃度を高めることができ、静電気の残存や再帯電を抑制できると呼びかけている。「ユーザーの工場、製造工程によってケースは様々。状況を見極めて最適な除電を提案する」(同社)と説明する。
説明会では、プラズマクラスターイオン有無による除電効果の比較をプレゼンした