氷不要の高性能保冷箱・保冷剤を活用

 岩手県大槌町の産業復興団地内にあるデジタルブックプリントは、水産業を復興する一環として鮮魚流通における鮮度・品質保持で高機能を発揮する保冷箱・保冷剤「メカクール」(トッパンフォームズ製)を活用した「旬感保冷・大槌復興絆便」の実証実験を26〜27日に行った。

氷なしでも新鮮なまま

 地元大槌産の鮮魚を「メカクール・普通車輸送」、「発泡スチロール箱・氷・保冷車輸送」の2方式で26日同時出荷。27日にデジタルブックプリントが運営する飲食店「伝左衛門」(東京都港区芝浦)で双方の鮮魚の品質を比較したところ、「メカクール」便はイカの吸盤が吸い付くなど、鮮度で明らかな違いが生じた。
 メカクールは繰り返し使用できるので、発泡スチロールのゴミが生じず、氷も不要なので出荷コスト削減になる。保冷箱はアイスクリームを入れた場合でも72時間持つという。
 保冷剤は鮮魚に最適な庫内温度を保つため、冷やし過ぎによる品質低下を防止する。箱内温度はIC に記録される。産地で食べるのと変わらないおいしさを消費地に届ける新たな「大槌ブランド水産物」の提供も期待できる。
 消費地では魚を捌ける人材の不足などで、水揚げ産地とのミスマッチングが生じ、水産物の需要が減少。その結果として「魚離れ」が叫ばれるようになって久しい。「産地で一次加工し、この方式で出荷すれば消費地で調理しやすく、魚食普及と廃棄物処理・資源化の一挙両得が実現する」(デジタルブックプリント・福田久美子業務部長)としている。