【年頭所感】
ロジスティクスイノベーションによる課題解決に向けて
日本ロジスティクスシステム協会 遠藤信博会長

      遠藤会長

 ロジスティクスは経済の基盤であり、AI やIoT の活用により、柔軟性と効率性を兼ね備えたさらなる高度化が期待されている。そうした高度なシステムをグローバルにいち早く発信していくことが、日本のロジスティクスに求められていることと思う。
 昨年7月、政府における物流施策や物流行政の指針として、関係省庁が連携して総合的・一体的な物流施策の推進を図る「総合物流施策大綱」が閣議決定され、これからの物流に対する新しいニーズに応え、我が国の経済成長と国民生活を持続的に支える「強い物流」を実現していくための取り組みが示された。当協会は、この「総合物流施策大綱」に示された方針を踏まえ、今年も「ロジスティクスコンセプト2020」のもと、活動を展開していく。
 2016 年度に活動を開始した「ロジスティクスKPI 推進部会」および「ロジスティクスIoT推進部会」は、その活動をさらに深化させ、企業同士が連携して目指すべき新たな社会共通価値を広く産業界へ示すべく、より一層取り組みを加速する。また、進展するグローバルSCM に関する調査研究を通じた課題と先進事例の分析に取り組み、今後の事業展開に向けた打ち手を探るとともに、物流現場改善活動の推進として、「物流現場改善推進のための手引書」の翻訳版を制作し、海外の物流現場への普及を図っていく。
 さらに、ロジスティクス人材育成の支援活動では、引き続き、階層別、分野別の各種講座、セミナーなどの開発、実施を行うとともに、学生のためのロジスティクス・物流研究プロジェクトの推進や、物流業界におけるダイバーシティに関する実態調査の実施など、ロジスティクスの高度化を担う人材の活性化に向け、幅広く取り組んでいく。加えて、物流システム機器や情報システム、サービスなどハードとソフトが集結した情報発信・技術交流の場である「国際物流総合展―LOGIS-TECH TOKYO―」は、今年9月に規模を拡充し開催する。
 今年も当協会は、わが国産業活動と国民生活の持続可能な発展に向け、経済産業省ならびに国土交通省など、関係各省庁の施策と歩調をあわせ、全力をあげて課題に取り組んでいく。