安価になって採用増えるオゾン除菌
手洗い、野菜洗浄、工場の清掃に
東芝グループのテックアプライアンスはオゾンで除菌や脱臭を行なう「Ｌくりん」シリーズの新製品２機種を９月15日発売する。
オゾンは塩素と比べて効果が強く、安全性が高い。高価だった数年前に比べ装置が安くなったため、近年は様々な場所で使われている。同社では習慣で次亜塩素酸ソーダを使っている食品工場にもオゾン除菌を広げたい考え。
新型機２機種を発売
LくりんJrオート
LくりんDX
「ＬくりんJr(オート)」は手洗い専用機。手をかざせば自動的にオゾン水が出てくる、いわゆる「先止め式」。
以前のオゾン水生成装置はボタンでオン・オフしていたが、新型機は先止めにして15〜60秒でストップする機能も付加したため、使い勝手がよくなった。
オゾンは手が荒れないのも利点。１分間に濃度0.6〜1.0ｍｇ/ℓのオゾン水を６ℓできる。
「ＬくりんDX」はオゾン水・ガス併用機。オゾン水を１分間に30ℓ（濃度0.6〜2.0mg/ℓ）。オゾンガスを1時間に100mg生成する。
オゾンの除菌力は塩素の７倍で、細菌、カビ、ウィルスなど幅広く効果がある。自然界に存在し、すぐに酸素に戻るので２次公害の心配がなく、人体にもやさしい。食品添加物として認められており、直接反応させても問題がない。餃子を包む際、皮につける水をオゾンにしているメーカーもあるという。塩素系も食品に使えるが、洗い流すのが条件となる。
オゾン水は電解水のように塩分を含まないので、機器が錆びやすくなる心配がない。耐性菌が発生しないのも塩素系と異なる利点。ノロウイルスにも効果が高い。
数年前は「高い、効かない」
床洗浄も
利点が多いのに採用が進まなかったのは昔のオゾン装置が高価だったため。
「安価なものは効果が弱く、それがイメージを悪くしていた。今は濃度の高いオゾンを発生させる装置が飛躍的に安くなっており、新規に導入する水産会社などはほぼ100％オゾンを採用している」(同社)という。
様々な用途で広がっており「今やJR東日本のトイレは100％がオゾン除菌。磨かなくても便器の尿石を取り除くので、省人化にもつながっている」(同)。高速道路パーキングエリアのトイレも二〜三割がオゾンに入れ替わっているという。食品関係では回転寿司チェーンが電解水からオゾンに早々と切り替えた。
食品工場は薬品を水に溶かすだけの手軽さから、いまだに次亜塩素酸ソーダを使っているところが少なくないが、今回、「先止め式」のオゾン水手洗い装置を開発したことから、採用が増えると同社では期待している。
手洗い機はリースで月5000〜6000円。原料は水と空気だけなので、原液が必要な塩素系除菌と比べランニングコストでも優位だという。
床や機器を洗浄するハンドガンタイプもある。野菜の洗浄などにも使える。オゾンには臭いや汚れ、菌だけでなく、一部の農薬を分解する働きもあり、こうした分野での利用も進むと期待している。
１１日セミナーとフェア
同社はオゾン除菌装置やPOSターミナルなどの商品フェアと「オゾンを活用した安全・安心の衛生管理」をテーマとしたセミナーを９月11日、東京渋谷のFORUM8で開催する。フェアは午前10時半から午後4時半まで。セミナーは午後1時半から3時半まで。