天然ガス化でＣＯ2排出を抑制
ガス会社とのプロジェクト実る
ジャパンフーズ��
ジャパンフーズは工場内で使用する蒸気ボイラの燃料を重油から天然ガスに、06年２月切り替えた。これによりＣＯ2や酸性雨の原因となる硫黄硫化物（ＳＯｘ）、窒素酸化物（ＮＯｘ）などの排出を大幅に抑制した。この実績により「09年食品産業ＣＯ2削減大賞」の農林水産省総合食料局長賞を受賞した。
工場の外観
千葉県長生郡長柄町。長柄ダムを背にした山あいに本社工場は立地しており、房総の豊かな水と自然とともに歩んできた様子をうかがわせる。工場排水は、近隣農家の農業用水として利用できるよう、厳しい排出水処理と管理を行い、周辺の環境に配慮した体制で臨んでいる。また、災害時には長柄町と地域住民に飲料水を供給する協定も締結している。
工場の裏には市津湖が広がる
ＣＯ2対策は関係部門が10数年以上前から取り組んでいた。熱量を特に必要とする飲料工場。そのもととなる重油で何か手立てを加えられないか――と具体的に検討し始めたのが2004年。タンクローリーを使って東京ガスから直接ＬＮＧを受け入れ、重油から天然ガスに転換するプロジェクトが発足した。
工場の立地を最大限に活かした。世界的にも有数の大規模施設である東京ガスの袖ヶ浦工場から35ｋｍと距離が近く、燃料費を抑えることができた。東京ガス側も大幅なＣＯ2削減が期待できるプロジェクトに賛同、食品メーカーとガス会社が共同で取り組む先駆けとなった。経済産業省と日本ガス協会から補助金を受け、比較的生産が落ち着く冬期、05年12月から翌２月にかけ、一気に設備を切り替えた。
ＬＮＧ貯槽タンク110ｋℓを３基設置、他に類を見ない規模の設備になっている。ＬＮＧは13.5ｔ規模のタンクローリーが夏期は毎日４回、冬期は２〜３回、袖ヶ浦工場から直接運んでくる。貯槽タンクに蓄えたＬＮＧは蒸発器を使って工場内の各ボイラに運ばれる。タンクローリーから受け入れる方法は大気から熱を吸収、蒸気で気化して圧力が上がったのを利用し貯蔵タンクへ送液する仕組み。この操作では電気を使用せずに運ぶことができるため、この点でも省エネがかなっているという。
「袖ヶ浦工場と立地的に近いのが特に恵まれていた。距離が近い分、運搬にもＣＯ２の排出を抑えることになる」と同社はプロジェクトに手ごたえを感じている。
この切り替えにより英国製インバータ制御のボイラ５基、吸収式冷温水機１基などの熱源設備も最新機種に更新することで、熱効率が飛躍的に上がった。ボイラバーナーはコンパクトで音も静かだという。
貯槽タンク３基設置、これほどの規模のものは珍しい
プロジェクトの実績や大規模なＬＮＧ貯槽タンク設備は東京ガスのモデル事業としても機能しており、ＣＯ2対策を検討している事業者の見学を多く受け入れている。この成功をきっかけとして各地で同じような動きが活発になれば、環境対策が一歩前進するに違いない。
ＬＮＧは東京ガスの袖ヶ浦工場から毎日運ばれてくる