ドリマックスは主力の野菜類カットマシンに止まらず、肉類や水産物をカットできる万能スライサーを開発するなど活動範囲を広げている。ユーザー数も着実に伸ばしており、埼玉本社だけでは対応が難しくなった。そこで今年9月東京に新オフィスを立ち上げ、新たな体制に臨む。
松本社長
――ここ数年は、食肉や水産加工用にも販路を広げている。
松本 当社は野菜加工機が主力で、飲食店舗を中心に大型の食品工場にも納入実績があります。野菜関連の国内需要を一定程度は開拓できました。野菜加工分野が成熟してきましたので、さらに売上げを拡大するために新たな需要を創造しなくてはなりません。そこで食肉や水産加工分野への進出で拡大したいと考えています。
――主力機種である万能スーパースライサー/ダイサー“F-2000S/D”はもともと野菜用途が発祥。これを食肉や水産加工用に応用している。
松本 −4℃程度といった半解凍状態の肉や魚を高速処理でき、解凍する必要がないため、菌の繁殖を防ぎ、鮮度を保ったまま加工できるのが強みです。通常のミンチは冷凍肉を解凍してから圧力をかけてカットするため、肉の繊維が潰れてしまいます。しかし、当社のスライサーは高速回転で半解凍の肉をダイスカットするので繊維が潰れることがなく、肉の旨味をそのまま提供できます。
これまで流通していなかった大きさのバラバラな半端肉もカットできるので、同じ品質なのに単価の安い肉を使用できます。他に、軟骨のような少々硬い食材のカットが可能。肉に筋を入れて柔らかくするためのカットなどもできます。
――ハンバーグを“ウリ”としているファミレスのセントラルキッチンに採用されたとか。
松本 ハンバーグ用に使うダイスカットの中でも、従来手切りで作っていた大きめのカットに対応するため、これまでにない新しい食感の高級ハンバーグに応用できます。肉挽き機で作るミンチと違い、肉の繊維が潰されていないため、粘り過ぎません。
少し前になりますが、“F-2000S/D”の食肉用途の第1号機として、大手ファミレスのセントラルキッチンに採用されました。幸先のいいスタートが切れました。そのお店では、ハンバーグの断面を強調してジューシーさをアピールするなど他店との差別化に成功しています。
別のファミレスでも、西日本の店舗向けに食材を提供しているセントラルキッチンがまずは導入。そのお店では“ハンバーグが変わった!”と大きくうたってくださいました。その品質を評価いただき、すぐに東日本向けのセントラルキッチンでも導入を決めていただきました。ほかにも、ファミレスだけでなく、メーカーも導入を検討していただいています。
――ユーザーも機械を重宝しているようだ。
松本 うれしい限りです。導入先のシェアは、主力の野菜加工用に対し、食肉や水産向けはまだ1割には達していません。本格展開はこれから。この導入を皮切りに、当社も食肉や水産業界の市場調査を繰り返し、より必要とされるものを提案していきます。
――新たな販路開拓・・・ますます忙しくなりそうだ。
松本 ここ数年でユーザーの数は着実に増えています。しかし、拠点が埼玉県川口市の本社の1つのみだったため、営業活動なども不便になりつつありました。そこで9月から新拠点として東京にオフィスを立ち上げます。埼玉は本社機能と製造部門が中心、東京は営業の最前線となるよう、2本柱で活動します。以前から、別に拠点を構えたいと思っていましたが、ようやく叶います。新たにスタッフを4名採用し、新体制に臨んでいます。
――念願の新オフィス。どんな機能に?
松本 住所は東京都港区芝。早い段階から山手線沿線で検討し、その後、港区にしようと、ある程度的を絞って探していました。幸い、いい物件と巡り合うことができました。港区は当社のユーザーになるような飲食店が多く、またそうした外食・飲食店の本部である会社も多いエリアです。オフィスはビルの1階に構え、ショールームを設けています。外からも機械の様子を窺うことができますので、街を歩いている業界の人ならばピンとくるでしょうし、一般の方でもふとしたときにショールームを見れば、スライサーの姿や働きに関心を持っていただけると思います。
――食材をスライスする様子を一般の人にも見てもらいたい。新オフィスでのスタートが楽しみだ。
松本 私も楽しみにしています。東京にオフィスを構えることは本当に念願でした。“新機種を見にいらしてください”、“本社にいらしてください”とお客さまに声掛けしたくても、埼玉県では少し遠かいのがネックでした。しかし、今度はお客さまが別の用事で東京にいらしたときにでも、寄っていただきやすくなります。お客さまにもご負担にならないことでしょう。私たちも多くのお客さまに来ていただいて、活発な商談ができればと願っております。
――今後の展望は?
松本 まずは東京の新オフィスを軌道に乗せること。そして、将来的には別の地域でもオフィスを立ち上げられればと考えています。今までは国内に合わせた仕様でしたが、今後は海外展開も視野に入れ、グローバルスタンダードを意識した設計開発にも注力していきます。日本製のスライサーは海外のユーザーも関心を持っています。野菜のスライスに止まらず、適用範囲を広げられたことをビジネスチャンスにつなげていきます。