食品製造の自動化・省人化をテーマにロボットやAI・IoT、食品機械、検査装置などを一堂に集める「第1回 フードテックジャパン」が千葉の幕張メッセで11月25〜27日開催される。同時開催の「第5回 ドリンクジャパン」と併せて約400社が出展する見込み。
新型コロナの影響を受け、食品製造の現場でも自動化や省人化、分散化をめざすデジタルシフトの動きが加速するとみられる。こうしたニーズを取り込もうと先進技術を持つ有力企業が出展する。
AI・IoT関連では味の素エンジニアリング(東京都大田区)が次世代型の3D設備管理サービス「PLANTAXIS(プランタクシス)」を提案する。
味の素エンジニアリングが開発した3D設 備管理サービス「PLANTAXIS」
工場設備の高精細な3D画像をクラウドにアップロードし、PC画面に再現することで、工場から遠く離れた画面上でも現場調査や測量が行えるほか、点検情報の確認、工事計画の立案、見積もり依頼ができる。設備管理の効率化、経費削減、管理ノウハウの継承が可能になる。コロナ禍のように拠点間の移動がままならい状況でも、リモート操作で作業が行える利点を訴求する。
ロボット関連ではベンチャー企業のアールティ(東京都千代田区)が人型協働ロボット「Foodly(フードリー)」を使って、弁当の盛付け作業を実演する。
ディープラーニングを活用したAIビジョンを搭載しており、山積みになった鶏のから揚げから一つひとつを認識してピックアップする。唐揚げのほかミニトマトや肉団子などの盛付けも披露する。昨年の「FOOMA JAPAN(国際食品工業展)」に出展した時から認識精度、作業スピードとも各段に向上しており、今回も来場者の注目を集めそうだ。
アールティの人型協働ロボット(昨年のFOOMA JAPANから)
会期中は食品工場のスマート化やAI・IoT導入などに関する50講演が予定されているが、講師陣の顔ぶれが目を引く。
農林水産省から食料産業局の太田豊彦局長が「食品製造業の労働力不足解消に向けて」と題してオープニングスピーチを行う。
食品メーカーからはキユーピーでAI原料検査装置の開発を主導した荻野武生産本部未来技術推進担当部長や、外部企業と連携してAI検査選別装置を開発し、から揚げの良品・不良品判断やえびの残殻検査を行っているニチレイフーズの塚本真也技術戦略部装置開発グループシニアプロフェッショナル、データ統合管理型の新生産システムを直営7工場に導入するプロジェクトを推進したマルハニチロの鈴木創情報システム部企画管理課長役らが講演する。
味の素食品事業本部食品生産統括センターの樋口貴文スマートファクトリーグループ長は、最近話題のシミュレーション技術「デジタルツイン」を使ったサプライチェーンの実現について解説する。
食品大手が生産現場にデジタル技術を導入した経緯や、導入後にどのような成果が得られたのかが聞ける貴重な機会と言える。
このほか冷凍ケーキメーカー、五洋食品産業(福岡県糸島市)の田村勇気執行役員技術戦略室長、即席めんメーカー、イトメン(兵庫県たつの市)の伊藤充弘社長、豆腐・油あげなどの製造販売を手がける相模屋食料(群馬県前橋市)の鳥越淳司社長らも講師を務める。