介護食の講演会開く、UDFの認知を

 水産利用学懇話会は講演会「ユニバーサルデザインフードの現状と課題〜医療機関の立場〜」を日本大学湘南キャパスで29日開催した。日本介護食協議会(日缶協内)の藤崎享事務局長(日缶協普及課長)が「ユニバーサルデザインフードとは」について講演した。
 藤崎氏は「高齢化の進展によりユニバーサルデザインフード(UDF)の生産量は急激に伸びており、09年は08年に比べて115%。また、会員も45社と増加。協議会では、高齢者の咀嚼や誤嚥(飲み込む力)に合わせて4区分の自主基準を設けている。UDFの課題は認知率の向上であり、分かりやすく便利な介護食品UDFをめざす」などと語った。

講演会の様子

 水産利用学懇話会は日本水産学会の下部組織であり、当日は大学や研究機関、メーカーの研究開発担当の関係者が多数参加して開催された。藤崎氏の講演によると、同協会は02年に設立され、日缶協メンバーや冷凍食品などの食品会社、包材会社等で構成されている。介護食の普及と自主基準を策定している。また、UDFのマークを制定し、消費者が商品を選ぶ際の目安としている。硬さや粘土に応じて1〜4の分類した食品と、飲の物や食べやすさを調整する「とりみ調整」食品がある。UDF食品の種類では「とりみ調整食品」、「乾燥タイプ」、「冷凍タイプ」、「容器包装詰加圧加熱タイプ」、「その他容器包装詰タイプ」となっている。

09年は2ケタ成長で72億円の生産額

 UDFの生産量は09年の生産量で5880t、金額で72億2600万円が08年に比べ生産量で107.3%、金額で115.2%と2ケタの伸びとなっている。特に硬さ区分1が生産量で154%、金額で137%の伸みとなっており、主に冷凍食品の製品となっている。
 UDFの課題は認知度をさらに高めるため、分かりやすく、便利にするほか、高齢者は年金生活者であるため、UDF製品の価格をどのように整合させていくかの課題もあるとした。

バリアフリー食品としてさらに研究を

 国立精神・神経医療研究センター栄養管理室の今泉博文氏が「ユニバーサルデザインフードの現状と課題〜医療機関の立場から〜」と題し講演した。
 今泉氏は「協議会ではUDFの硬さについいてのみ基準を設けているが、本来、ユニバーサルデザインのバリアフリー概念からすると、UDFは栄養面や食物アレルギー除去についても、配慮したものでなければならいない。これら物性だけではなく栄養面やアリルギー面の含んだバリアフリーのUDFをどのように捉え、基準づくりをするかについては、いまだ緒についたばかりで、今後のUDFの課題であるといえる。当病院のある東京小平市地区の医療機関が集まり研究会を立ち上げている。今後、この面での研究の輪を広げていきたい」とした。