ＡＩが勤務シフト作成
12万人の「従業員体験」向上へ
イオンリテールは従業員の勤務計画をＡＩが自動で立案する「ＡＩワーク」と、店舗のバックオフィスの壁に設置して業務連絡やミーティングに活用できるデジタルサイネージの「Ｍａｉボード」を導入し、このほど運用を開始した。ＤＸ（デジタル変革）推進の一環で、従業員体験（ＥＸ＝Employee Experience）価値の向上に取り組む。
イオンリテールはレジ待ち時間をなくした買い物システム「レジゴー」やネットスーパーの店舗受け取り「ピックアップ」をすでに導入し、ＡＩとロボットを駆使した次世代ネットスーパーの建設を進めるなど、ＤＸを通じて顧客体験（ＣＸ＝Customer Experience）価値の向上に力を入れている。
「ＡＩワーク」は勤務希望の申請や勤務計画の確認を携帯端末で行える（イオンリテール提供）
ＥＸ向上の取り組みでもＡＩによる売場分析やダイナミックプライシングを活用して、作業の簡素化・標準化を進めている。
今回はＥＸの本丸とも言える「バックオフィス改革」に切り込む。デジタル技術を使って後方業務の時間を減らすと同時にチームの連帯を高めるなど、従業員が働きがいを感じる職場環境づくりを実践する。ＥＸ向上を通じて顧客への提供価値（ＣＸ）の向上につなげるねらいがある。
山本実執行役員システム企画本部長は７月25日の記者発表会見で、ＥＸ向上の実現に向けた課題として�）槁瑤噺従譴梁佻辰砲茲襯灰潺絅縫院璽轡腑鵑僚室臓↓�働き方の仕組みの見直し、�５甸囘�なデータ分析による業務プロセスへの転換を挙げた。
そのうえで「これまでは店舗にシステムを導入しても、活用の度合いに店舗間でバラツキが生じていた。ここを平準化して、誰でも簡単に使える仕組みの開発が必要」と語った。
「ＡＩワーク」の概要図、勤務シフト作成の作業時間を削減し、担当者の負担も大幅に
軽減する（イオンリテール提供）
ＡＩが計画と実績の差分を分析
今回開発した「ＡＩワーク」はシフト作成担当者の計画業務時間を大幅に削減するほか、従業員１人ひとりの職能もデータ化できるため、チームの課題を把握しやすくする。
最大の特長は計画と実績の差分分析と改善計画をＡＩが提案すること。ＡＩは過去データから商品の買い上げ率が高く、人時生産性が適正な日を曜日別、業務別で学習し、最適なワークモデルを自動生成する。補充人員がどれだけ必要か、誰にどの技能教育を受けさせるべきかなどを見える化し、現場改善につなげることができる。
「Ｍａｉボード」は近隣店舗と売れ筋商品を比較することができる（イオンリテール提供）
今年６月に試験導入した店舗では、計画作成時間が70％削減したほか、勤務希望の申請や勤務計画の確認を携帯端末でできるようになったため、紙の使用量を90％減らすことができた。
「Ｍａｉボード」は連絡ノートや掲示板など従来のアナログの情報共有ツールに代わる。デジタルサイネージの画面から業務連絡や作業を確認でき、コミュニケーションをより円滑にする。営業数値のほか、近隣店舗では何がいま売れているのかなど「改善のヒント」となる情報も常時更新される。
こうした情報をチームで共有することでメンバーから改善プランが生まれやすくなり、自分たちで考えたプランが成果に結びつくと「やりがい」にもつながる。
イオンリテールは「イオン」と「イオンスタイル」の店舗に順次導入し、全店の約350店舗・従業員12万人にまで広げる。
「Ｍａｉボード」は手書き機能を搭載しており、ミーティングを円滑にする効果がある、手
書き内容は保存可能（イオンリテール提供）