サニタリー・機械部品の洗浄力を大幅向上
新型バブリング洗浄機を初披露

 業務用厨房機器大手のタニコー(東京都品川区、谷口秀一社長)は「LooK at T」をテーマに「バブリング洗浄機」の新型などを出品する。「T」にはTry(新製品)、Team(Teamタニコーとして生産設備以外の福利厚生提案)、Trust(社会貢献活動)の意味を込めた。ユーザーの課題解決につながる総合力の高さをアピールするとともに、社会的責任に対する行動力を示す。

 今回の目玉は新型のバブリング洗浄機にすすぎ・乾燥装置を連結させた「バブリングユニット」。洗浄作業の省人化・省力化を実現する。

 ポンプや配管、バルブの継手、サニタリー部品などはどうしても分解洗浄が必要になり、多くの現場では手洗いに頼らざるを得ない。特に充てん機の部品は形状が複雑で、洗浄に多くの時間を要し、作業負担も大きかった。「バブリングユニット」はこうした課題を一気に解決する。

洗浄力向上、複雑な形状にも対応

 最大の特長はバブリング洗浄機をリニューアルし、洗浄力を高めたこと。従来はカゴに部品を置き、浸漬槽に沈めて洗浄していたが、槽内のノズルの位置と部品の形状を考慮して置き方を工夫する必要があった。新型機はカゴが槽内で回転する構造にし、槽内の洗浄液を撹拌(かくはん)することで、部品をどのように置いてもムラなく洗浄できるようにした。

 バブリング洗浄機はノズルから吐出した泡径100マイクロ未満の「マイクロナノバブル」が部品に付着した汚れをはく離、吸着して水面に浮上させ分離する仕組み。カゴを回転させることで、このマイクロナノバブルが部品全体に当たるようにした。複雑な形状の部品でも汚れをきれいにはく離する。部品の向きなどを意識する必要がなくなり、その分の手間を減らせる。

 すすぎ・乾燥装置はこれまで別工程だった機能を1台に集約した。すすぎから乾燥まで自動で行う。

 IBC事業部の渡辺洋平事業部長は「手洗いを省力化したい、洗浄時間を短縮したいという声を受けてバブリング洗浄機を進化させた。今までのバブリング洗浄機に比べ間違いなく時間短縮が図れる」と胸を張る。

 タニコーはバブリング洗浄機などを搭載した大型トラックの「洗浄ラボカー」を使って食品工場などに直接出向き、納入前に必要な試験洗浄を無料で実施している。展示ブースではこの出張サービスもアピールする。

バブリング洗浄機を搭載した「洗浄ラボカー」の訪問テストの様子。製造現場の品証や購買の
担当者らも実際に洗浄性を確認することができる

移動式CIPユニットを初披露 

 今回は新製品の「移動式CIPユニット」も初披露する。食品工場では大釜やタンクなどの設備機器にCIP(定置洗浄)システムを設置しているケースが少なくないが、配管やポンプは一度敷設するとレイアウト変更や設備機器の増設に対応するのが難しい。

 「移動式CIPユニット」は洗浄液の調整タンクを備えた台車式で移動は簡単。ホースの先端に付けた回転式のノズルをタンク内のホースと接続することで、槽内に洗浄液を噴霧する。洗浄後の排水はユニットに戻る循環方式を採用しており、節水と排液を出さない環境配慮を同時に実現する。

 IBC事業部洗浄課の葛島和也係長は「すでに導入実績があり、以前は分解洗浄していた配管のしつこい汚れ(焦げ)も洗い流す。洗浄効率だけでなく、CIP導入コストを抑える効果もある」と強調する。

オフィスキッチンで福利厚生の充実化を支援

 FOOMAではこのほか、社内コミュニケーションを円滑にするための設備としてオフィスキッチンテーブルを出品し、「IRORI-WA(輪、話、和)」を新提案する。「IRORI-WA」は日本古来より人が集まる場所としてあった“囲炉裏”をイメージしたコミュニケーションスペース。「1つのテーブルを囲んで輪になり、談笑することで心温まる和みの空間となるようにとの思いを込めた」(同社営業戦略室)という。

 タニコーが最も得意とするステンレス加工技術を駆使したテーブルは柔らかい曲線に特長があるなど意匠性が高い。要望に合わせて冷蔵庫やIHコンロ、コーヒーメーカーなどをセットするなど簡単な調理もできるようにした。展示ブースでは省人化・省力化だけでなく、こうした福利厚生の充実化もサポートできることを打ち出す。

 タニコーは社会貢献活動にも精力的に取り組んでおり、東京のJR大崎駅にほど近い「Tarny Bakery Cafe(ターニーベーカリーカフェ)」(品川区)では毎週金曜日に地域の子どもたちを呼んで、パンやコーヒーなどを格安(子ども100円)で提供している。FOOMAではパネルや動画を活用し、子育て支援や食育活動について紹介する。
 ブース番号は1G-21。

社内コミュニケーションを円滑にするためのオフィスキッチン(テーブル)。「IRORI-WA
(輪、話、和)」という考え方を新提案する(写真はこのほど出展した西日本食品産業創造展)