野口正見の「5S活動による食品工場改善」 −32−
5S活動を理解してもらうために(2)

 中堅の食品メーカーB社の食堂には給食設備がなく、業者から弁当を購入していた。配達の通函は食堂入り口の床に直置きされていた。
 従業員の食べる弁当が不潔な床に直置きされていることに誰も気がつかないことは、経営陣、役職者を含め、食品衛生のセンスが疑われることである。従業員も文句を言うべき。そこで棚付き台車を作成、配置するよう指導した。従業員は今までにない会社の気配りを感じた。
 直置きは配達される弁当だけではない。現場では原料や副原料、包装資材、容器類などが散見されていた。
 床は指定された置き場所ではない。汚染箇所である。弁当保管台車の経験がこれらの改善への理解をもたらす。

床に置いていた弁当を(左)、台車を作成して保管した(右)

5S活動を理解してもらうために(3)

 推進委員会を組織して各職場から委員を選任し、委員会には社長の出席を願い、パトロールで気付いた不適合箇所を発表させた。
 社長はただちに対策を指示したことで、各自の意見が採用されたことに社員は意気を感じるようになった。オーナー社長の威光に、ある面ではおびえていた委員たちにとって、この場の意思疎通は5S活動への意欲をもたらすようになった。

指導前(左)、食堂の机の上を整頓した(右)

5S活動を理解してもらうために(4)

 半期に1回「5Sの日」を設け、大掃除と5S勉強会、各種表彰式と懇親会を実施した。
 工場には営業や総務、開発部門も応援として参加し、全社一丸となって大掃除を実施した。
 懇親会では、普段掃除できない高所や機械の裏側などが清潔になったことで、達成感に浸っていた。生産を中止して、このような行事を実施することに会社、社長の5S活動に対する決意を従業員は理解した。

半期に1回の「5Sの日」、倉庫を大掃除した