水溶性食物繊維「ファイバリクサ」を発売
 2種類の酵素を使ってでん粉から作る

 林原(岡山市、森下治社長)は新たな機能性糖質製品「ファイバリクサ」を11月25日から発売する。冷凍食品や菓子などに普及している主力商品「トレハ」(トレハロース)に次ぐ大型商品に育てる方針。

ファイバリクサの荷姿

 ファイバリクサはでん粉に酵素を作用させて製造した水溶性食物繊維。食物繊維不足を補うことを目的とした飲料や食品に幅広く配合できる。主成分のイソマルトデキストリン(多分岐α−グルカンの一種)は腸内フローラの餌となることが確認されており、腸内環境改善を目的とした各種健康飲料や健康食品に活用が期待できる。
 一般的な難消化性デキストリンは、でん粉を焙焼し、加水分解してその中の難消化性物質を取り出して作る。
 ファイバリクサは2種類の酵素を使って原料のでん粉を分解し、組み替えて作る点がこれまでにない新技術。焙焼せず酸も使わないので異味がせず、無色。甘味はほとんどなく、無臭で水によく溶け、安定性に優れている。メイラード反応による褐変がしにくい。凍結、解凍による老化もない。

太田取締役糖質事業本部長

 慢性的な食物繊維不足を補うために食物繊維を添加した食品や飲料は数多く発売されているが、イソマルトデキストリンは特に腸内環境を整える作用に優れており、便通の改善、下痢の軽減、免疫調節、脂質代謝改善などの機能性効果が期待できる。
 同社の実験ではラットの腸内でビフィズス菌の増殖に効果が顕著に認められた。マウスを使った試験では免疫調節作用や脂質代謝改善も認められた。
 29日の記者説明会で、同社の太田九州夫取締役糖質事業本部長は「生産工場が8月に完成した。(長瀬産業グループに入り)新生林原となって初の大型新商品」と期待を語った。
 価格は一般的な低粘度デキストリンとほぼ同水準になる予定だが、腸内環境を整える付加価値を前面に打ち出して販売する方針。