ドイツ品質競技会に今年はハンバーグで勝負

 東急百貨店グループのセントラルフーズは、ドイツ農業協会(DLG)が主催する世界最大級の加工食品のコンテスト「ドイツ国際品質競技会」で、惣菜部門の金賞を目指している。中でも一番の売れ筋を誇る荒挽ビーフハンバーグで勝負したいと意欲に燃えている。

米山工場長(左)と、設備などを統括する山下征美製造1マネ
ジャー兼工場管理マネジャー

 同社は「ドイツ国際品質競技会」でウィンナーなどで金賞をこれまでに受賞しているが、新カテゴリーでも獲得しようと全社的に士気を高めている。
 1つは惣菜部門での金賞受賞。中でも一番の売れ筋を誇る荒挽ビーフハンバーグで今年は獲得したいと意欲に燃えている。
 商品を生産する狭山工場(埼玉県狭山市)の米山春彦工場長は「オールビーフハンバーグでの金賞受賞は日本のメーカーでは非常に少なく、受賞できれば当社の看板商品になることが間違いないでしょう」と目を輝かせる。
 ハンバーグは狭山工場で生産、冷凍加工し、洋惣菜の直売店「ローゼンハイム」で焼成して販売する。デミグラスソースやオニオンソースは工場で内製化している。
 ハンバーグは肉粒感をより出し、デミグラスソースはハンバーグの旨みを引き立てる自然な味わいになるよう改良した。

 もう1つは牛タンを使った商品開発の多角化。「牛タンを使った腸詰を競技会に出品します」と米山工場長。牛タンを使った製品は日本のメーカーではまだ少ないため、「挑戦します」と意欲満々。
 この牛タン、同社にとっては特に力を入れたいカテゴリーと捉えている。居酒屋などに向けたメニュー提案のほか、大手外食チェーンとも商品開発を進めているという。シーズンが本格化するビアホールに向けた商品開発にも力を入れている。

ハンバーグライン、受賞に期待を込める

ウィンナーの製法を変更

ウィンナーの製造ライン(狭山工場)、女性スタッフが多く活躍している

 ハンバーグや牛タン製品など新たなカテゴリーでコンテストの受賞を目指しているセントラルフーズ。その意欲は主力のウィンナーで実績を積んでいる裏付けがあるからだ。
 荒挽ウィンナーと細挽ウィンナーは、ローゼンハイムの直売店やお中元・お歳暮ギフトで販売しているロングセラー商品。2012年の「ドイツ国際品質競技会」で荒挽ウィンナーは金賞、細挽ウィンナーは銀賞を受賞した。
 
 荒挽ウィンナーと細挽ウィンナーの製法を今シーズン変更した。
 一般的には冷凍の輸入原料を使用したものが多いが、国産の豚肉と牛肉を使用。天然の羊腸を使用することで、人工の腸では出せないパリッとした食感が味わえる。ウィンナーの本場ドイツの岩塩(アルペンザルツ)と香辛料を使用し、素材の味を引き出している。
 今回の改良点は、原材料はそのままで、燻製時間など製法を変更した。加熱時の燻製時間を長くし、スモークの香りを高めて表面の皮の色合いを濃くした。荒挽ウィンナーは肉の荒挽感がしっかりと味わえる食感に、細挽ウィンナーでは口当たりが良い、滑らかで柔らかな食感となった。
 また、肉を腸に詰める工程で充填圧を高め、皮(腸)がさらにパリッと歯切れの良い食感にした。
 量り売りよりも日持ちする使い切りサイズのパックも同時に販売し、利便性を高めた。
 行楽シーズン到来。家庭での食事はもちろん、花見や遠足などでも楽しめるおつまみや弁当用として販売を強化する。

 DLG(Deutsche Land wirtschafts-Gese11Schaft)はドイツ農業の発展・向上を目指して1885年に設立された組織。フランクフルトに本部を置く。1887年(明治20年)から国内の加工食品を対象にした品質競技会を開催、1993年(平成5年)からは出品国を世界に解放し、今や世界最大にして最も歴史と権威のあるコンテストとして知られている。
 審査対象品目はハム・ソーセージのほかにビールやワインなどの飲料、加工食品、アイスクリームやチーズなど乳製品を含む多岐にわたる。審査は国際標準化機構(ISO)と同じ規格として採用されているドイツエ業規格(DIN)に基づき行われ、味や色あい、香り、添加物、香辛料など200近くある審査項目を減点方式でチェツク、金、銀、銅のメダルを授与する。
 今年のコンテストの結果発表は5月上旬を予定している。