シールドテックの紫外線空気殺菌装置「エアロシールド」は天井に近い壁にエアコンのように設置し、床から高さ2.1m以上の空間に向けて水平方向に紫外線を照射することで、室内に人がいても紫外線殺菌を24時間安全にできるという。病院や高齢者向け施設で導入を伸ばしているが、今後食品は工場向けにも販路を広げる。
木原専務
――空気中のゴミ、粉塵を除去するのではなく、空気中の菌を殺菌することを目的としている。
木原 従来の紫外線装置で空気を殺菌する場合、紫外線が人体に影響を及ぼすため、人がいない夜間などに限り使用していました。しかし、エアロシールドは天井に近い高さ2.1m以上の空間に対し、水平に紫外線を照射し、屋内で起こる空気の自然循環を利用するため、人体への影響がなく、空気を殺菌できます。
――その特徴は?
木原 この紫外線は、浮遊菌に対する殺菌能力が89.6%という優れた殺菌力があり、特殊ルーバー構造により、水平方向に安全照射できます。また、低コストでメンテナンスフリーの長寿命ランプ(フィリップス製)を使用しているので、ユーザーにとって導入しやすくなっています。空気清浄度評価システム(有償)で証明書も発行できます。
――導入実績は?
木原 すでに慶応病院など全国の病院や、高齢者向け施設で使用されています。食品関連では、九州の有明海や不知火海のアオサ・乾海苔生産者が自主的に装置を導入する動きが活発になっています。加工業者や販売業者だけでなく、生産者自らが殺菌対策を課し、製品の衛生度を高め、品質を向上させようとしています。
――これらの生産現場ではどのような効果を挙げている?
木原 ある乾海苔生産現場では高温多湿のため、カビの繁殖や臭いに大変苦労していましたが、装置を設置後1週間程度で臭気が激減しました。特に訪問者から「臭いが減っている」と評価を得たようです。実際にエアサンプリングと培地による評価結果では、平均100〜200個/㎥程度であり、食品加工現場として十分余裕のある浮遊菌数に抑制されていると確認されました。
――付着菌ではなく、浮遊菌の殺菌をターゲットとしている。
木原 あるアオサの生産現場では、アオサをバラ乾かし乾燥方式としていたため、落下菌は直接製品に付着しやすく、アオサを傷めない程度の温風乾燥では確実な殺菌状態を得ることはできませんでした。しかし、この装置を設置することで、朝の始業時に感じていた海産物特有の臭気が激減し、アオサ本来の香りだけが際立つようになりました。こちらもエアサンプリングによる浮遊菌数評価は平均100㎥という菌数抑制効果を得ています。
――興味深い効果と実績だ。食品製造の様々な現場で、関心を持ってもらいたい。
木原 食品関連のこの他の導入実績は和洋菓子を製造する石村萬成堂、学校給食センター、ホテルのレストランなどありますが、いずれも九州地区に留まっています。そのため、今後は首都圏を中心に食品工場向けにも導入を呼びかけていきますが、まずは知ってもらうことからだと思います。首都圏の販売代理店である大成基礎設計社とともに、様々な現場に働きかけていきます。