東京商工リサーチ調べ、食品業の倒産が3年ぶりに増加

 東京商工リサーチの調査によると、食品製造、卸売、小売りを含む「食品業」の2022年の倒産(負債1000万円以上)は前年比21.3%増の535件と3年ぶりに前年を上回ったことがわかった。このうち新型コロナ関連倒産は232件で、食品業倒産の4割を占めた。前年の158件からは1.4倍に増えた。コロナ禍の長期化で支援効果が薄れたことに加え、巣ごもり需要が一巡したことが影響した。さらに、原材料価格の高騰が追い打ちをかけた。

 東京商工リサーチは「価格転嫁やコストアップの吸収が難しい小・零細企業を中心に、倒産は今後も緩やかな増勢をたどる」とみている。

22年はイセ食品、肉の神明が倒産

 22年の倒産件数(535件)は3年ぶりに増加したが、件数だけで見ると、この30年間では21年(441件)に次ぐ2番目の低水準だった。

 業種別では製造業が前年比38.6%増の147件、卸売業が7.3%増の204件、小売業が26.8%増の184件だった。「コストアップと需要の変化に対応しにくい業種ほど増加率が大きい」(東京商工リサーチ)。

 22年に倒産した主な企業はイセ食品(東京、負債約278億円)、肉の神明(東京、負債約208億円)など。両社とも外食産業の不振の影響で業績が悪化した。

 イセ食品は私的整理による債権を模索したが難航し、債権者から会社更生法を申し立てられた。肉の神明は飼料の高騰や豚熱発生によって資金繰りが厳しくなり、民事再生法を申請した。