阿部万寿雄の「食の安全」と「ものつくり」 −19−
東日本大震災支援活動(1)

 東日本大震災が発生して1年半が過ぎた。大船渡や陸前高田、気仙沼を訪れるのは今回で3回目。震災から3カ月後に訪問したあの津波の悲惨な災害状況は、テレビの映像からは伝わらない。あの灰色の風景と、魚が腐敗した異臭は忘れられない。
 被災地の惨状の中で会った知人の水産会社社長には慰めの言葉を失ってしまった。

津波と地盤沈下で被災した水産加工場

 今回、震災後1年半の節目に当たり、震災災害技術支援ボランティアとして現地に向かった。新聞やテレビでは災害復旧が60%進んでいると報道している、しかし現地を訪ねると復旧の足取りは鈍く、被災地の復興計画も道半ばで停滞している。
 復興への取り組みも各県の方針の違いで格差が出ているが、岩手県大船渡市は現場に即応した復旧活動により、現地の企業復興が急速に進んでいる。
 今回、大船渡市の戸田市長に面談する機会があり、大手ゼネコンOBの市長から市の被害状況と積極的な企業復旧対策を伺う事が出来た。(次号へ続く)

加工設備が破壊された惨状