野口正見の「5S活動による食品工場改善」 −19−
新工場での5S活動(5)

【目標4】床のドライ化の促進
 床のドライ化は5S活動の成果指標であり、作業中に床を水洗いしなくて良いように、床に物を落とさないためのラインの改善や、洗浄場所の指定と囲い、溝の増設などを行なった。
 パン粉付けラインでのパン粉の落下防止、パン粉が落ちたらすぐ掃除する習慣、フライヤー室のステンレス床の滑り止め対策などの成功体験が功を奏し、停滞していたドライ化への取り組みが本格化した。
 2006(平成18)年をドライ化完成の年として仕上げの施策に取り組んだ。
 特に原料処理室や調味室、洗浄室などのように水を使う場所を指定部署として、目標管理項目に掲げ、重点的に日々チェックし評価した。この年度は未達であったが、2007年度はドライ化95%を目標に挑戦し、98%達成、社長の当該年度マネジメントレビューで「定着した」という評価となった。新工場操業から5年を要した。
 床のドライ化が完成し、作業場は清潔さが維持され、湿度が低いため壁や天井などにカビ、汚れがなくなり、床もぬめりがなく、清々しい雰囲気となった。作業は長靴から短靴になり、また床が滑らなくなり、転倒事故は激減し、従業員のストレスは軽減され、快適な職場となった。
 2008年から親会社グループ内で「いいこと活動」としてドライ化の横展開が始まった。5S活動でグループの1番になろうという筆者の在任時の方針が実現した。