宇和島産みかんサーモン、国内とアメリカの店舗で販売開始

 回転寿司チェーン「無添くら寿司」を運営するくらコーポレーション(大阪府堺市、田中邦彦社長)は「宇和島産みかんサーモン」を全国の店舗で13日から販売する。

宇和島産みかんサーモン

 「宇和島産みかんサーモン」は愛媛県宇和島市の宇和島プロジェクトと同社が共同開発した「フルーティーフィッシュ」。愛媛県宇和島市で、一昨年から養殖を開始。愛媛県産の伊予柑の皮から抽出される「伊予柑オイル」を混ぜた餌でギンザケを飼育することで、口の中に入れたときに爽やかなみかんの風味が広がるように仕上げた。
 昨年5月上旬に数量限定で販売した際、好評だったことから、今年は数量を大幅に増やし、販売期間を昨年の1週間から1カ月ほどに延長した。予定数に達し次第、販売終了。くら寿司でしか食べられない商品。1貫税込み108円。
 今年は初めての試みとして、アメリカの店舗でも同商品を販売する。宇和島プロジェクトではシンガポールの高級レストランやスーパーに提供するなど、両社が一丸となって「フルーティーフィッシュ」の海外展開を進めている。

くら寿司と宇和島プロジェクトの共同開発

 宇和島プロジェクトは宇和島の元漁協職員が立ち上げた水産商社。自ら商品を開発し、生産から最終販売までのトータルコントロールを行うことで、宇和島地区全体の水産業者の地位向上をめざし、設立した。
 くら寿司との共同開発商品は2012年4月発売の「みかんぶり」が最初。「みかんサーモン」に関しては、日本では水温の関係などから難しいとされるサーモンの養殖に宇和島プロジェクトが挑戦しようとしていたところ、「宇和島でギンザケを養殖するなら愛媛県の特産品である、みかんの風味のついたフルーティーフィッシュを販売してはどうか」とくら寿司が提案し、開発販売に至った。
 「宇和島産みかんサーモン」は出荷のピークが過ぎたタイやブリ用の生簀を有効活用して育てる、いわば「養殖の2毛作」。
 今年の養殖に際しては、東北地方から宇和島まで約8万尾の稚魚を活魚船で運ぶという、極めて大胆で大がかりな方法を採用。約250gの稚魚を、昨年の12月下旬から今年の 1月初旬に宇和島の生簀に放流。約4カ月かけて、約1.4kgの成体に育てた。
 宇和島プロジェクトでは「今後は稚魚からの県内養殖もめざし、『愛媛県生まれ、宇和島育ち』のギンザケ養殖も視野に、宇和島産養殖魚の海外販路の拡大と、ブランド価値の向上を図りたい」としている。