養鶏場×通販×店舗で６次産業化に成功
優良顧客の囲い込み率、25％以上
本社工場は自動化を進め省人化を実現した
�蟷嚇跳寨�（山形県米沢市、山田浩樹社長）は良質の卵を使った６次産業化を５年前から強化し、順調に業績を伸ばしている。通販事業とリアル店舗で年間３億円超を売上げる。
その取り組みを参考にしようと、地元山形県内をはじめ秋田県、岐阜県、和歌山県などの中小経営者らがこのほど視察ツアーに参加した。食品会社のＥＣ通販事業をサポートするトゥルーコンサルティング��（東京都新宿区、萱沼真吾社長）が主催した。
山田鶏卵は2005年に自社養鶏場の山田ガーデンファームを設立し、それまでの卸専業から製造販売に参入した。養鶏数は約10万羽で１日約８万5000個の卵を生産する。
鶏の生育環境と餌に徹底してこだわり、山形県特産の紅花を飼料に自家配合した「紅花たまご」ブランドを構築。鮮やかな黄身の色や形、濃厚な甘みとコク（粘り）が評判を呼び、１個当たり約70円ながら高いリピート率を維持している。業務用卸も好調で、「東北地区のドーナツやハンバーガーチェーンなどと取引実績を積み上げている」（山田社長）。
ウフウフガーデン定番メニュー「贅沢たまごか
けごはん御膳」、卵はおかわり自由
人気のパンケーキ「洋なしとホットカスタード
のソース」
年間10万人が訪れる「ウフウフガーデン」
紅花たまごが50個入って税込1000円の「ファミ
リーパック」
山田鶏卵は紅花ブランドの通販事業と卵を使ったスイーツを提供する実店舗「ウフウフガーデン」の出店でＢtoＣを強化し、６次産業化のビジネスモデルを作り上げた。
通販事業は10年前にゼロから始めた。新聞広告や折り込みチラシによる通販広告とアウトバウンド（電話営業）を試行錯誤しながらブラッシュアップし、「紅花たまご」を定期購入する優良顧客数を伸ばした。定期購入への誘導は客との信頼関係が必須条件だが、今では定期コースへの引き上げ率が25％を超え、客から手紙はもとより中元や歳暮まで届くという。
山田社長は「通販では卵の鮮度が最も重要。当社は養鶏場と生産工場が近距離にある。朝生んだ卵を午前中に集卵して工場に運び、洗浄・殺菌・パッケージして夕方発送できる。この鮮度保持の仕組みが当社の強み」と語る。
「ウフウフガーデン」は５年前にオープンした。市内中心部から車で30分程の「辺ぴな場所」（山田社長）だが、週末は１時間以上待つことも。客の目当ては「紅花たまご」を使ったパンケーキをはじめとしたスイーツ。付加価値の高い商品開発が奏功し、年間約10万人が訪れる。ウフウフガーデンをプロデュースする夫人の山田恵美さんは、「紅花たまごの良さを知ってもらうためにスイーツにこだわった。大型投資だったが中途半端にしたくなかった」と強調する。
スイーツに加え、形が不揃いの紅花たまごが50個入って税込1000円の「ファミリーパック」を店舗限定で販売したところ、これが口コミで大ヒット。プロダクトアウトの発想だが、ブランディングの強化に大きく貢献した。２年前には「ウフウフファーム」を近くにオープンした。豊かな自然に囲まれた約１haの敷地内に建つ。卵関連の食材や雑貨販売のほか、親子で遊べるガーデンを整備した。
「ウフウフガーデン」の店内
２年前に建てた「ウフウフファーム」
６次産業化の土台は１次産業
山田社長（左）と恵美夫人
山田社長は６次産業化について「我々が一番大事にしているのは実は鶏舎の掃除。365日休まず、１日４時間かけて行っている」として、１次産業（養鶏）に真剣に取り組むことが重要との考えを示した。
トゥルーコンサルティングの西川正太可取締役は山田鶏卵の成功ポイントとして、� 嵋榲�においしい」と実感する商品開発、��肝が据わった投資とパートナー企業選び、�Ａ完�一丸、社員が自発的に行動するようになる社員教育を挙げ、「食品事業者が解決すべき価格競争・低粗利・卸からの脱却を実現した成功モデル」と語った。