“長寿命”のＸ線検査機、噛み込み検査機能も紹介
アンリツインフィビスはＸ線検査機の新シリーズを「ＪＡＰＡＮ ＰＡＣＫ 2015」に出展する。今回のポイントは“長寿命”。部品となるＸ線のセンサーと発生源の寿命を延ばすことで、機器本体の生涯コストを大幅に削減する。７月から受注を開始した少量計量用の高速クリーンカップスケールも紹介する。
ＸＲ75
Ｘ線検査機の新シリーズ名は「ＸＲ75」。ユーザーの使い方にもよるが、Ｘ線の発生源とセンサーに関し、およそ３倍の長寿命化を実現した。
センサーを改良したことで、Ｘ線の出力を下げても、映し出される画像は従来機のように鮮明さを維持する。通常、センサーは強いＸ線を受けると、それだけ劣化が早くなったが、その懸念を克服した。発生源自体も今までのような出力の高い�樟�を発生する必要がなくなったため、その分寿命が長くなった。
Ｘ線検査機は内部の発熱を抑えるため、ファンを組み込み、外気を取り入れて冷やすのが一般的。しかし、現場環境によっては外気を取り込めず、自身で冷やすためのエアコンを搭載することが多い。
新シリーズは特殊密閉構造の放熱ユニットを組み込んだ。多くの場合でエアコンの搭載を不要となる。エアコン自体にイニシャルコストがかかり、電気代も必要だったが、そのコストを解消できる。エアコンのスペースも削減でき、機器のスリム化につなげることができた。
Ｘ線検査機を導入したくても、製品やランニングコストが高いため、それが実現できないユーザーが少なくない。食肉業界や冷凍食品業界では導入が進んでいるが、「食品業界全体で導入は３〜４割ほどに留まっている」と同社では分析している。高額部品の長寿命化を訴求し、生涯コストを削減できる新シリーズの登場で、ユーザーがＸ線検査機を導入しやすい環境を整えたいとしている。
Ｘ線検査機に、“噛み込み”検査機能を追加
「Ｘ線検査の特徴は、異物混入の検査だけでなく、商品の形状検査、欠品検査、相対質量検査など総合的な機能を持っていること」と同社。近年は“噛み込み”検査機能について注力し、提案している。展示会場では、新シリーズ「ＸＲ75」だけでなく、噛み込み検査に特化した「ＫＤ7490ＬＹＮ」を用いた噛み込み検査の様子を実演する。
包装工程でシール部に噛み込んだ食品がＸ線を吸収し、Ｘ線センサーに届く線量が通常のシール部より少なくなる。その差を検知して噛み込みアラームを出す。同じ原理でシール部のシワを見つけることができるという。カレーの固形ルーやレトルト状のもの、小袋形態のポテトサラダなど、その用途は様々。
小容量で高速計量、付着性高い食品にも強い
今年７月から受注を開始した小型高速・小容量食品向けのクリーンカップスケールを紹介する。すりきり式のカップとシャッタの採用で、ボイル肉やキムチなど付着性の高い食品の計量を得意としている。新機種は近年ニーズが高い少量計量の高精度・高速化に応える。
機器の小型化により集合排出時間が短くなり、生産速度は従来機に比べ20％向上するという。
社名変更後、初の大型展示会
同社は社名をアンリツ産機システムから10月１日付で「アンリツインフィビス(株)」に変更した。インフィビス（ＩＮＦＩＶＩＳ）には、Ｉｎｆｉ（ｎｉｔｅ）「これからも無限に」とｖｉｓ（ｉｏｎ）「お客様とビジョンを共有して」――の思いを込めた。
「誰もが健康で豊かに暮らせる安全・安心な社会の実現は、人類共通の願い。当社は食の工業化が始まった頃から半世紀以上にわたり、食品・医薬品産業に携わるお客様とともに、品質検査の高い技術力と現場力を培ってきた。これからもお客様とビジョンを共有し、品質保証の高度化を通じて、安全な食品・医薬品の安定供給に挑戦する」と同社。今回のＪＡＰＡＮ ＰＡＣＫは社名変更後、初の大型展示会であり、来場者に改めてアピールする。