アンリツインフィビス、鶏胸肉の残骨検知を高精度化
デュアルエナジーセンサ搭載Ｘ線検査機
アンリツインフィビスは新製品の「デュアルエナジーセンサ搭載Ｘ線検査機」を出品し、正式受注を開始する。同機は「特定市場専用機」という位置づけで、鶏胸肉、鶏もも肉の残骨を高感度で検知することに特化した。
同機は精度を大幅に向上させた第二世代モデル。デュアルエナジーセンサを搭載しており、これによって１回のＸ線照射（撮影）で濃度の違いによる２種類の透過画像を取得することができる。ポイントは特殊な画像処理技術によって、２種類の透過画像の差分処理から残骨の部分を鮮明に抽出させることができること。
鶏胸肉はサラダチキンの人気で需要が増えているが、「ブロイラーの改良で最近は肉の厚みが増している分、骨の厚みが相対的に減り、残骨の検出の難易度が上がっている」（担当者）という。従来機では検知が難しかった細かい残骨も、新型デュアルエナジーセンサと画像処理技術によって発見できるため、�〇長�除去の確率を高めたことで消費者からのクレームが減る、�∪催戮�向上したことで誤動作が少なくなり歩留まりが改善される、といった効果が期待できる。
デュアルエナジーセンサ機能はがん検査など医療用機器で採用されているが、食品検査機に転用して市場投入するためには、医療用に比べてコストを大幅に削る必要があり、「センサメーカーとの長期的な協力関係も開発には重要な要素だった」（担当者）という。
新技術採用のＸ線噛み込み検査機
Ｘ線噛み込み検査機
商品パッケージの噛み込み検査を高感度化したＸ線検査機は「ＸＲ75シリーズ」のＸ線技術をベースにしている。これまでＸ線検査機が苦手としていた濃淡の差が小さいシール部の位置を正確にとらえる新技術を採用した。包装工程でシール部に噛み込んだ食品はＸ線を吸収するため、センサに届く線量が通常時に比べて減少する。この線量のわずかな差を検知して噛み込みと判定する。
半透明フィルムや色付き、アルミなど様々な包材や包装形態にも対応する。標準搭載した「シール角マスク機能」は、「開け口」の部分が反ることで多かった真空パックやトレーの誤検出を低減する。
異物検査、形状検査、欠品検査などＸ線検査機が持つ多様な機能に噛み込み検査を加えたことで、複合検査機としての利用価値は高い。担当者は「個食化を背景に惣菜の個包装や、フードロス削減のためにロングライフ商品が増えている。出荷後の品質を維持するためにシール不良をなくしたいという潜在需要は高い」としたうえで、「光学系のカメラでは検知できない色付きやアルミ蒸着の包材も検査できる点が強み」と特定包材での需要増に期待を示している。
この他、ドレッシングやマヨネーズ、スタンドパウチ用にリニューアルした「横照射型Ｘ線検査機」を出品する。「対象物を寝かせる必要がなく」（担当者）、Ｘ線を横から照射して従来より鮮明な透過画像が撮れるのがポイント。
また、自動電子計量器の「クリーンカップスケール」や総合品質管理用の独自ソフト「ＱＵＩＣＣＡ」なども展示する。ブース番号は７Ｓ-20。