震災後も対策を継続、弱点の立体倉庫にも
昭和産業 鹿島工場（２）
震災当時、どの企業も立体倉庫が弱点だったことは記憶に新しい。
鹿島工場も工場の生産に与えた影響は軽微だったとはいえ、工場内ではダクトが落ちたり、立体倉庫では積み上げた小麦粉の袋がパレットからずり落ちて搬送装置を動かせなくなったりと、いくつかの改善点が浮き彫りとなった。
当時、立体倉庫は上段ほど大きく揺れて荷崩れの発生も多かった。そこで、震災後はコンピュータのソフトを改善し、なるべく下の段に荷物を集めるようにしている。
小麦粉を入れる紙袋も、滑りにくい紙質にすることで、荷崩れを防止している。
立体倉庫には免震ダンパーの導入も検討したが、まだ事例がわずかなこともあり、今後の課題。「もっとも効果が見込める部分に設置しようと、具体的に準備しているところ」（佐久間潤専務）という。
何より大きいのは社員の意識が変わったこと。
佐久間専務は「震災では食品売場から商品が消えた店もあった。それを思い出すと、食品メーカーとしての社会的責任の重大さを思い知らされる。社員も以前はあまり意識していなかったが、震災後はほとんどの食品に当社の小麦粉や油などの原料が使われていると意識し、素材メーカーとしての責任感が根付いた。これは大きな収穫だろう」と語っている。
製粉工場の屋上から見渡す鹿島工場、広大な土地を持つ
日本最大級の穀物サイロと大型港湾施設が強み
中村工場長
鹿島工場は1973年に設立した。ほとんどが業務用製品だが、一部ペットボトル油脂などの家庭用商品も生産している。
中村圭介常務工場長は同工場の優位性について、国内最大規模の穀物サイロと世界有数の掘込式港湾、エネルギー自給システムなどを具体例にあげている。
鹿島工場のある鹿島港は年間416万ｔの穀物取引量がある。これは全国の12％のシェア。「単一港としては日本一であり、鹿島港の中で当社の穀物扱い量が一番多い」という。同社の穀物サイロの容積は20万8000ｔ。これは全国３位の規模。同社に隣接する鹿島サイロ（全国11位の規模）も使用しているので、それを合わせると34万8000ｔとなり、断トツで１位になる。
港湾は掘込式で強固な地盤をもち、深さ、幅ともにパナママックス級（パナマ運河を通過できる最大の船＝貨物船設計上の重要な要素）の貨物船が航行でき、桟橋もパナマックス級を迎え入れることができる。これは規模的なコストメリットもある。
工場近隣には配合飼料会社があり、小麦ふすま（小麦の製粉工程で取り除かれる「小麦の皮」）や脱脂大豆、グルテンフィード等の多様な副産物を１日に何往復も供給でき、利用効率がいい。電力は石炭発電ボイラー、ＬＰＧ発電タービン、バイオマスボイラーの３タイプの自家発電システムを持ち、最大で通常使用量の80％を自給でき、停電しても工場は稼働できる。
通常時はＬＰＧ発電を除く、バイオマスと石炭発電を使っており、消費電力の50〜60％を自家発電でまかなっている。
＜鹿島工場の月産能力＞�＼淑苅暇�6500t�∪縮�原料処理５万1900ｔ、精製１万5000ｔ��コーンスターチ２万7000t�づ�化工場の澱粉処理能力１万8300ｔ�ゥ廛譽潺奪�ス生産2700ｔ
日本最大級のサイロを持つ
パナマックス級の貨物船から穀物などを吸い上げる装置