ニッコーは超高速ピッキングシステムをFOOMAで初披露する。毎分500個で流れるワークをロボット1台で移載。大量に流れてくるワークでも、超高速で整列供給できる。また、過熱蒸気焼成機の新機種も初出展する。焼き加減は「表面はパリっと、中身はふっくら」と自信を示す。過熱蒸気による新しい焼成加工を紹介する。
超高速ピッキングシステム
今回初披露する超高速ピッキングシステムは、ロータリー式供給装置とサーボバケット式ロボットシステムで構成。包装機などから大量に流れてくるワークを、ロータリー式供給装置で高速整列し、サーボバケットに供給。ロボットがサーボバケットに追従しながらピック&プレイスを行う。1分間で400〜500個の処理が可能という。
従来のロボットシステムでは、その移載能力は毎分100個ほどが限界だったため、400〜500個を処理するには、ロボット自体が4、5台必要だった。しかし、大きなスペースを必要とする。今回はその工程を1台のロボットで対応させるのがコンセプト。
サーボバケットと呼ばれるコンベアには“桟”のようなものが付いており、その桟に流れてくるワーク1個ずつを整列させて配置させる。
ここで整列させることによって、例えば5個に設定したならば、ロボットが5個を一度につかむことができるようになり、従来型よりも1度のアクションが引き上がるため、400〜500個ものワークを処理できる。
これにより、今までロボット5台を必要としていた工場では、1台だけでも可能に。省スペース化が格段に進む。また、今回のロボット1台は従来型1台に比べれば価格は高くなるものの、5台分を投資するのに比べれば、初期投資を大分抑えることができる。
FOOMA会場では実演を行う。映像も使って、ピッキングの様子を説明する。「実演ではかなりの高速になるため、初めて見る方は驚くかもしれません。映像もうまく使って説明し、自動化したい、あるいはレイアウトの変更を考えたいなど、お客様の課題解決に貢献したい」と語る。
過熱蒸気焼成機の新機種「INNOVA」は過熱蒸気のみを熱源に食材を焼成する。焼成ユニットの高性能ヒーターは、高温の過熱蒸気を生成でき、食品に直接当てる、ダイレクト焼成のため焼き上がりに違いがでる。焼成ユニットごとの各種設定は簡単、自由自在で、焼き目もバッチリという。省エネ効果も高い。
過熱蒸気焼成機「INNOVA」
水を沸騰させて発生した水蒸気をさらに加熱し、100℃以上の状態にした高温水蒸気を「過熱蒸気」という。極めて乾いた状態の蒸気で、通常の水蒸気に比べ熱効率が非常に高く、直火やガスとほぼ同じように焼き上げることができる。
過熱蒸気は「蒸す」(物質に熱を与え、品温を上げる)という水蒸気の性質と、「焼く」(物質をダイレクトに加熱、乾燥させる)という高温空気の性質を併せ持ち、食材の中心をすばやく加熱することができる。そのため過熱蒸気で焼成すると、表面はパリっと、中身はふっくらという製品ができる。
過熱蒸気による加熱は“高温で短時間”。高温で短時間に加熱すれば、食品中の栄養素などを損なわず、酵素の失活や殺菌をすることができる。牛乳の高温短時間殺菌はこれを利用したもの。また、中華料理で野菜を高温、短時間で油通しすると、野菜の色素を分解する酵素を失活させ、色鮮やかに仕上がることからもわかる。
さらに冷凍野菜を冷凍する前にブランチングと呼ばれる熱処理を行うのも、酵素活性を抑制することで冷凍保存中の品質維持や変色防止をするため。これらの効果が得られる過熱蒸気による調理は、食材のおいしさをそのまま封じ込めることができ、高品質の製品を作ることができる。
INNOVAは1つの焼成ユニットに4つの高性能ヒーターを搭載。高温の過熱蒸気を生成でき、それを食材に直接噴射(ダイレクト焼成)するため、焼き上がりに大きな違いがでる。冷凍鮭切り身(80g)ならば、5〜6分で焼成完了。熱伝導が良く短時間調理ができる。均一の焼き上がりで、臭い移りがない。また、ハンバーグも火を使わなくてもおいしく焼成できる。表面の菌数を大幅に低下、殺菌効果も得られる。火を使用しないので、火災の心配も極力抑えられる。