荷主各社で場所と設備をシェア
固定費の抑制がカギ
ダイワロジテック Intelligent Logistics Center PROTO
大和ハウスグループのダイワロジテック（東京都千代田区）はマルチテナント型物流施設「ＤＰＬ市川」（千葉県市川市）内に次世代型物流センター「Intelligent Logistics Center PROTO」を昨年立ち上げた。ポイントは作業スタッフや無人搬送ロボット、物流管理システムを荷主企業間で共同利用するシェアリングモデル。作業量の平準化によってランニングコストを抑えるほか、誰でも同じレベルで作業できる標準化を実現している。
自動搬送ロボは可搬式商品棚を持ち上げて次々に運んで
いる
「Intelligent Logistics Center PROTO」は「ＤＰＬ市川」の２階に設置した。センター内ではダイワロジテックが出資するＧＲＯＵＮＤ社の自動搬送ロボット「Ｂｕｔｌｅｒ（バトラー）」30台が商品棚を持ち上げて次々に運んでいる。
搬送ロボットが稼働しているスペースは約600坪。可搬式の商品棚は約400台。これだけの広さで、搬送ロボットと同じ生産性を上げるにはスタッフ30人が必要になるが、ここではピッキングや棚入れ（入荷）を行うワークステーションが３カ所あり、搬送ロボットが商品棚を運んでくるため３人の配置で済んでいる。
センターではネット通販の荷主企業３社が作業エリアやスタッフ、搬送ロボット、最新マテハンを共有している。この「シェアリングモデル」によって設備投資や人件費などの固定費を抑えている。センターのマネジメントと現場オペレーションはダイワロジテックグループの中核企業、フレームワークス（東京都千代田区、秋葉淳一社長）が提供する。物流管理システムやロボット、マテハンを使った基本オペレーションをベースに１出荷あたりで課金する仕組み（従量課金制）。
荷主企業ごとに作業エリアを決めると物流量に変動が生じた場合に「スタッフの手当てなどを１社ごとに対応する必要が生じ、コストが２〜３割増しのケースが発生する」（秋葉社長）という。各社で共有することで作業量を平準化できる。
また、棚入れ作業では物流管理システムによってカメラがＬＥＤの青いライトを発光させ、棚入れする場所を視覚的に指示する。スタッフは商品バーコードをハンディスキャナーで読み取り、ライトの指示に従って棚入れするだけ。誰でも同じレベルで作業できる標準化を実現したことで、作業効率の低下や誤出荷を防いでいる。
ＡＩ・ロボットの新興企業と連携
商品の棚入れ作業で効果を発揮する物流管理シス
テム
「Intelligent Logistics Center」は昨年竣工した「ＤＰＬ流山�機廖弊虱娶�流山市）にも開設した。ここでは搬送ロボットを使わないオペレーションを実施している。オーダー数は１日あたり約5000、取扱い点数は約１万ピースにも上る。人海戦術から徐々にロボットを導入して、ロボットを使った場合と使わない場合の比較検証を行う。
秋葉社長は「実証データを蓄積することで当社の経験値を上げることができ、さらに説得力をもって提案することが可能になる」とねらいを語る。
ダイワロジテックはフレームワークスのほか、フルフィルメントサービス（商品受発注・物流、決済代行）を提供するアッカ・インターナショナルをグループに抱える。また、ＧＲＯＵＮＤ社のほか、トラックバース予約管理システム開発のＨａｃｏｂｕ社に出資している。
ショールームではセンターの構想やグループ企
業の最新技術などを紹介する
秋葉社長は「グループの先進技術を活用し、物流オペレーション事業を行う企業に対してサービスモデルを販売したり、コンサルティングを行ったりできる」と語る。さらにＡＩやロボティクスのスタートアップ企業と連携を進める考えを示す。
ＡＩカメラの�蝪腺贈釘複繊淵▲戰献磧�東京都港区）に昨年出資したほか、ＡＩ搭載の「知能ロボットコントローラー」を世界で初めて開発した�蝪唯妝複稗痢淵爛献鵝�東京都墨田区）とも連携する予定。
ＡＢＥＪＡのＡＩカメラは小売業で採用されており、動線分析の技術などはセキュリティ対策に活用できる。秋葉社長によれば「作業スタッフがピックアップを指示されていない商品棚に手を伸ばした時にＡＩカメラが検知して画像履歴を残したり、商品が箱にきちんと収まって出荷されたかどうかトレースしたりできる」という。