期待と可能性尽きない食品機械
日本食品機械工業会 専務理事 鈴木 芳雄氏

 食品機械業界の2015年の販売額は前年比2%程度の増加の見込み。ユーザーの投資意欲は回復傾向。「今回は数%増になるかも」と期待していただけに、鈴木芳雄専務理事は伸び率の低さを残念がる。しかし、「今後も期待は持てる」とも。人材育成、ロボとの共存、海外進出――食品機械業界のトピックスは尽きないが、工業会はどう向き合うのか。

     鈴木専務理事

 ――食品機械の2015年(1月〜12月)の販売実績は。
 鈴木 2014年の食品機械の販売額が4482億円(1.2%増)だったのに対し、最終的な数値ではありませんが、15年は少なく見ても2%程度の増となる見込みです。この1年、会員各社からは前年に比べて、“感触がいい”、“更新需要が増えている”、“先送りになっていた機械投資が、今年動き始めている”という声が各方面から聞かれました。3〜4%増になるのではと当初は期待していましたので、少し残念。しかし、これは次に期待が持てる数字だと認識しています。確実に雰囲気は良くなっています。

 ――日食工の1年の活動を振り返って。
 鈴木 大変活発で充実した1年でした。会員企業の日頃の成果を披露する展示会「FOOMA JAPAN」は日食工の活動の中でも最大のイベント。2015年も最新の機械や技術が集結し、来場者にも満足していただけたと思います。会期は4日間。しかし、この4日間を成功させるため、出展社は全力でアイデアを練り、試行錯誤を繰り返したことでしょう。主催者の1人として、感謝申し上げます。

 ――FOOMA人気の勢いは年々増すばかり。
 鈴木 非常にありがたいことです。しかし、その一方で“申し込みたくても、すぐ満小間になり、出展できない”という声も多く、それを改善しなければなりませんでした。そこで16年のFOOMAから出展小間の申し込み方法を変更し、できるだけ多くの方に出展していただけるよう練り直しています。これにより、多くの方に出展していただく小間割りが実現しそうですが、希望する小間数を確保できなかったという方もあり、大変ご迷惑をおかけしております。希望に添えなかった皆様には心から陳謝するとともに、今後ともよろしくお願いいたします。

 ――それだけ期待の大きいFOOMA。何とか成功させたい。FOOMA以外の活動の進捗状況は。
 鈴木 展示会は多くの方に披露できる活動ですが、工業会には他にも地道な活動がたくさんあります。まずは教育事業。人材の育成は欠かせません。FOOMAアカデミー事業に加え、好評を得ている国際安全規格対応講習会では、15年度から「制御システムの安全関連部の概要と設計」、「安全防護の概要と設計」の2テーマを追加しました。これにより、この講習会が厚生労働省の「機械安全教育カリキュラム」で明示する教育内容を満たす内容にレベルアップしました。
 工業会ではシステム安全エンジニア(SSE)の取得をサポートしていますが、講習により、入社1〜3年レベルであるシステム安全・アソシエイトでは2ケタの合格者を輩出しています。

 ――2016年の展望を。
 鈴木、今後1、2年で食品機械は大きく変わっていくのではないでしょうか。ロボットがカギとなります。昨年末のロボット展では、ロボット専業メーカーの出展だけではなく、会場の半分は、ロボットを活用するためのアプリケーションの提案で占めていました。このアプリケーションの充実は例年にない動きです。まだ、食品加工に必ずしも直結する技術ではありませんが、そこに繋がる“可能性”というものを強く感じました。もしかしたら、水面下ではすでに動き出しているかもしれません。
 工業会の活動としては、引き続き、食品機械メーカーはもちろん、食品関連産業が健全な経済活動により大いに発展していくよう努力します。食品機械メーカーの海外進出も、より活発となるでしょう。少しでもお手伝いできるよう、情報の伝達、共有は当然ながら、視察活動も今まで以上に結果を残すものにしなければなりません。