矢野経済研究所がまとめた国内パン市場調査によると、2010年度のパンの市場規模は前年度比0.7%増の1兆3919億円だった。機械製造の生産効率化が進んだ「ミニシリーズ」(1個あたりの容量が少ないパンを数個包装した商品)の利便性が消費者の支持を得た。
2007年〜2009年の国内パン市場は小麦価格に大きく影響を受けたが、2010年は小麦粉、油脂類、乳製品などの原材料価格の高騰にも一服感が見受けられた。しかし、新興国需要の拡大や世界的な天候不順により、原材料価格は長期的な上昇傾向にある。
菓子パンが約四割のシェアを占めた。以前大ヒットした「あんぱん」、「メロンパン」、「カレーパン」、「クリームパン」などに目立つヒット商品は見られなかったものの、機械製造による生産効率化が進んだ「ミニシリーズ」の利便性が消費者の支持を得た。市場の二割を占める食パン市場では、「もっちり感」に続いて「ふんわりやわらか」な食感の商品がトレンドになっている。
調査期間は2011年1月〜3月。パン・調理パンの製造・卸メーカー、主要ベーカリーなどを対象に調査した。3月に発生した大地震の影響は考慮していない。