吉野家の東京工場は今回の熟成改良に合わせ、精度をより高めるためスライス工程も見直した。従来は1台のスライサーにスタッフを1人配置し、牛肉のセット、検品、バット詰めなど1人完結方式で行っていた。
改良ラインでは、ベルトコンベアを新たに導入。1台のコンベアに3基のスライサーを連動させ(将来的には6基)、検品者を別に3名配置した。「スライス工程のカギとなるスライスの厚み、赤身率、軟骨など異物の有無を複数の目でチェックするようにしています」(平田センター長)。
ベルトコンベアを新たに設置、スライサーと連動させている
また、ベルトコンベアにスライスした肉を流すことで、肉を適正温度まで徐々に上げるという意味も込めている。
コンベア上で肉をほぐし、くまなく混ぜることでより熟成が進むようにした。店舗へ搬送するためのバット詰めは8kgから7kgへと量を減らし、余計な圧力を加えないようにしている。バット内でもより熟成が進む形で店舗へ運ぶ。
「スライスした肉をほぐす作業は、以前は工場ではなく、店舗側がメインでやっていました。空気に触れさせることで温度を上げています。その工程を工場で一括することで、店舗でのオペレーションを1つ解消し、結果的に全体の効率を上げています。もちろん、牛肉の品質を上げるのが最大の目的です」(平田センター長)。
このスライスから検品ライン、着地点がほぼ見えてきている。しかし、まだ完成形ではないという。適正な温度管理と、適正な作業工程。これらを見極め、よりレベルを高めた牛丼を提供できるよう、日々検証を続けている。
今回の改良で「熟成」とともに力をいれたのが、この検品ライン。スライスの厚み、赤身率、異物の有無を複数の目でチェックする