客貨混載、北海道でも運用開始

 名士バス士別軌道十勝バスヤマト運輸は、北海道の路線バス4路線(恩根内線、下川線、朝日線、帯広陸別線)で「客貨混載」を9月27日開始した。
 過疎化や高齢化が進む中山間地域でのバス路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生活サービス向上がねらい。
 客貨混載とは、人と貨物を同じ車両で一緒に運ぶことや、利用者の輸送に付随して貨物を運ぶこと。運用を開始したことにより、宅急便を積載するため、座席の一部を荷台スペースにした路線バスが運行する。

         客貨混載のイメージ

 ヤマト運輸ではトラックの走行距離が1日約60km削減され、二酸化炭素排出量の低減につながる。
 バス会社では路線バスの空きスペースで宅急便を輸送することで、バス路線の生産性が向上し、バス路線網の維持につながる新たな収入源を確保できる。
 地域住民は地域のバス路線網が維持され、安定的に路線バスを利用できる。病院やスーパーなど多様な施設へアクセスでき、生活基盤の維持、向上につながる。また、ヤマト運輸のセールスドライバーが各地域(美深町、下川町、朝日町、陸別町)に滞在する時間が増えるので、利用者からの要望に柔軟に対応できる。

 全国の中山間地域等では過疎化や高齢化が進んでいるが、北海道は過疎地域の割合が約80%で、特に過疎化が顕著な地域となっている。
 路線バスの乗員数も年々減少し、高齢者の移動手段であるバス路線網の維持が課題となっている。また、物流業界では労働力人口が減少し、トラックドライバー不足による物流網の維持が課題となっている。
 これらの課題を解決するため、今年7月から北海道運輸局が主導し、名士バス、士別軌道、十勝バス、ヤマト運輸による「ひと・もの協働輸送プロジェクト」が発足した。道内の4路線で路線バスが荷物を輸送する「客貨混載」の実証実験を行っていた。