EC需要増加で異業種連携が続々と
EC需要による戸別宅配の増加や小売り流通店舗網の複雑化によって物流需要が急激に変化する一方、配送人員、物流施設での商品包装・仕分け・検品などに従事する様々な人材不足が深刻化していることから、業種の垣根を越えた取り組みが増えている。
「Techrum」に26社が参画、実証始まる
野村不動産の「Techrum」効果検証イメージ図
野村不動産は今月から「Techrum（テクラム）」の効果検証に着手する。パートナー企業26社が参画したことにより、物流の自動化（省人化・機械化）をはじめとした物流課題の解決にむけた様々な効果検証が可能になった。
テクラムは荷主企業と機器パートナー企業が協力・連携する企業間共創プログラム。
マテハン関係のPAL・東芝インフラシステムズ・寺岡精工・オークラ輸送機や、包装関係のトーモク、トラックボディの日本フルハーフ、各種IOT機器のネットワーク連携を手掛ける東日本電信電話など26社が参画している。
従来、物流の課題解決には野村不動産のような施設開発事業者や、配送業者、ピッキングや運搬・仕分けなどのマテハン機器業者が個々に取り組んできたが、各業態や商材によって極めて個別具体的な解決策が求められる上に、自動化機器への投資コストが増大なこと等から、「なかなか最適化された物流オペレーションが実現できない」という問題があった。
このほどスタートした検証では、荷主企業として三越伊勢丹グループの物流事業を手掛ける三越伊勢丹ビジネスサポートが協力する。物流オペレーションにおける各種機器の選定・連携の効果を検証する。
これらの取り組みを経て来年４月に「Techrum」を本格稼働させる。同年１月には、効果検証拠点の「習志野PoC Hub」（千葉県習志野市）を現在の約２倍の5290�屬乏板イ垢詬縦蝓�2025年までに追加拠点の稼働も模索している。
フルタイムシステムとホシザキ
冷蔵機能付き宅配ロッカー「フルタイムロッカー」
「宅配ボックス」、「宅配ロッカー」を開発、販売するフルタイムシステムは、ホシザキと宅配ロッカー分野で業務提携し、マンションを対象に冷蔵機能付き宅配ロッカー「フルタイムロッカー」の販売を強化する。
来年3月までに新築マンションをはじめ、既存のマンションも含めて、300カ所の導入をめざす。
今回の業務提携により冷蔵機能付き宅配ロッカーのさらなる品質向上を実現した。具体的には、冷却性とメンテナンス性を高めることができた。
この製品はリモートで温度管理ができる遠隔監視機能を搭載しており、温度が異常値を示した場合は、ボックスの「自動一時利用停止」、遠隔操作で使用を停止する「遠隔一時利用停止」、遠隔で一時利用停止を解除する「遠隔解除」の機能を搭載している。
遠隔監視対応なので着荷通知や問い合わせにも迅速に対応できる。
ひとつの制御ボックスで常温/冷蔵ボックスを増設でき、マンションの戸数や需要の増加に応じた増設も可能。
今後もホシザキの技術力や生産システムをこの製品に反映し、フルタイムシステムが持つソフトウエア開発技術と生産システムを併せて活用することで、さらなる品質の向上、開発期間、納期短縮を図る。
技術面にとどまらず、顧客サポート面でもノウハウを共有し、事業におけるシナジー効果の最大化をねらう。
ひとつの制御ボックスで常温/冷蔵ボックスを増設できる