「鮮度が命」の常識を覆す、熟成させて楽しむビール

 神奈川県厚木市の元祖地ビール店サンクトガーレンは、ワイン並の10%と高アルコールを持ち、ワインのように年単位で長期熟成が可能なビール「麦のワイン」2種類を17日発売する。
 発酵の終了したビールから古いビール酵母を取り除き、新しいビール酵母と麦汁を添加して1本1本手作業で密封する、シャンパンと同じ瓶内2次発酵製法で製造する。栓を開ける瞬間まで発酵が続くので、単なる酵母入りビールとは一線を画す、本当に生きているビール。
 賞味期限は5年間。すぐに飲んでもブランデーを思わせる熟成感がある。購入後に1年、2年と熟成させることで、香りも味わいも驚くほど深みを増し、複雑味を帯びてドライフルーツを思わせる甘味が出てくる。
 通常、ビールは新鮮で出来たてが喜ばれるが、麦のワインは逆。ビールファンの間では古いほど価値が高いとされている。

 麦のワインは19世紀に寒冷でブドウ栽培が出来なかったイギリスで、フランスワインの人気に対抗して得意のビールでワインのようなものを造ったのがはじまりといわれる。
 ワインと名に付くようにビールでありながらワイン並みの高アルコールを持ち、ワインのように年単位での長期熟成ができる。
 当時は大麦麦芽を主原料としたバーレイワイン(Barley Wine)1種類だったが、1980年代にアメリカで小麦麦芽を主原料にしたウィートワイン(Wheat Wine)が誕生した。 
 同社では2006年からバーレイワインを発売している。2012年からウィートワインを追加した。

 販売するのはバーレイワインのエル ディアブロ2016とウィートワインのウン アンヘル2016の2種類。容量は300ml。希望小売価格は税別1000円。各8000本限定で発売。2006年から毎年限定で販売しているが、ここ数年は予約分のみで完売となる傾向があり、各1000本増産した。