２号棟増設し、庫腹５万ｔ
関西エリアの旗艦センターに
日水物流 大阪舞洲物流センター（上）
日本水産の子会社、日水物流（東京芝大門、藤本健次郎社長）が大阪市此花区の北港緑地に建設していた「大阪舞洲（まいしま）物流センター２号棟」が４月１日、営業を開始した。2016年４月に西の拠点として開業した大阪舞洲物流センター（１号棟）の増設棟で、１号棟・２号棟を合わせると５万ｔ規模。日水物流で最大規模の物流センターとなった。
このほど増設した２号棟は、１号棟に隣接し、内部で連結している。連結通路は１階に２カ所。２号棟の保管能力は１号棟（２万5031ｔ）とほぼ同規模の２万4887ｔで、２号棟の完成により同センターの庫腹は４万9918ｔと倍増した。投資金額は総額46億円。
２号棟は１号棟と同じ５階建て。低層階は鉄骨、鉄筋コンクリートを複合したＳＲＣ工法、高層階は鉄骨づくりとなっており、こうした方式は東京団地冷蔵（東京平和島）と同様。コンクリートや鉄筋コンクリートの部材を工場で製品化するＰＣ化（プレキャストコンクリート）を採用したことで工期が短くなり、強度も増した。
大阪舞洲物流センターの外観
抜群の立地条件、大阪万博やＩＲ誘致も
大阪舞洲物流センターは、国際コンテナ戦略港である阪神港の中枢「舞洲」の中でも中心部に位置する。阪神高速湾岸線の「湾岸舞洲ＩＣ」からわずか1.6�劼畔�流拠点として抜群のアクセスの良さを誇る。コンテナヤードは南港が15分、隣の夢洲（ゆめしま）にも５分程度でいける。
夢洲は大阪万博の会場として整備される運びであり、ＩＲ（統合型リゾート）誘致の構想もある。日水物流が西日本最大の旗艦センターと位置付けた大阪舞洲物流センターは、極めて恵まれた立地条件下にある。
２号棟は、人手不足に対応して自動倉庫や移動ラックを導入しており、将来的には無人フォークリフトの導入にも備えた設計とした。移動ラックは4943パレット（9083ｔ）、自動倉庫は806パレット（2666ｔ）。さらにセミ超低温（−35度）1119パレット（1662ｔ）、超低温（−50度）が150パレット（303ｔ）収容可能。24時間・365日対応の保管機能を備えた流通型センターといえる。
また１号棟と同様、昨今の冷蔵倉庫の必須事項であるフードディフェンス対策や地震対策を講じて、貨物の安全・安心を確保している。フードディフェンス対策としては顔認証システムにより倉庫への出入りを24時間監視。セキュリティカメラが死角なく敷地内の映像を記録している。
地震対策も万全の態勢を敷いた。舞洲地区は、海溝型地震（東南海・南海、マグニチュード8.6程度）の場合でも津波（満潮時）の浸入を許さない十分な地盤高が確保されているが、同センターは敷地に盛土を施した上、さらにプラットホームを１ｍ嵩上げしている。非常用電源を屋上に確保して、有事の際も人命・貨物品質・各種データを保持、バックアップのデータセンターは他地域に配置してリスクヘッジしている。
自然冷媒を使用した冷凍機を導入して環境面にも配慮している。冷凍機は１号棟と同様、前川製作所の高効率自然冷媒冷凍機「NewTon」を採用。引き続き環境負荷低減に取り組む。「NewTon」は、2008年４月に同社川崎物流センターに第１号機を導入して以来、機械性能の改善に日水物流としても協力を続けてきた。今や業界トップレベルの評価を獲得している冷凍機。 （次号に続く）
自動倉庫を上階から見た様子