セブン&アイ・ホールディングス子会社であるPeace Deli(和瀬田順子社長)はグループ初の共通インフラとして千葉県流山市に開設した「Peace Deli 流山キッチン」をこのほど稼働開始した。鮮魚・精肉のプロセスセンター(PC)機能を持ち、イトーヨーカ堂とヨークの首都圏約200店舗に加熱用切り身や刺身、用途別の肉、ミールキットなどの加工品を供給する。
Peace Deliの和瀬田社長は流山キッチンの特徴的な設備として鮮魚や精肉の種類に応じて適した気体を充てんして包装することで鮮度を保つ「ガス置換包装機」、設定した重量に合わせて鶏肉・鮭をカットし生産性向上と人件費削減に役立てる「定貫スライサー」、商品の品質向上とロス削減に貢献する電磁波と磁力を用いて急速凍結する「プロトン凍結機」を報道向け内覧会で紹介した。
「PeaceDeli 流山キッチン」の外観、日本GLPが開発する国内最大級の物流施設タウン
「アルファリンク流山」内に入居している
キッチン内で作業員が手作業でカットした刺身を「プロトン凍結機」を用いて急速冷凍し、冷凍刺身としてネットスーパーやセブン−イレブンなどで試験販売する。凍結機に入れてから約45分で完成。冷凍した刺身は真空パックにパッケージングする。このプロトン凍結機は精肉への活用も検討している。塩蔵わかめを水戻しする脱水機なども導入している。
持続可能な水産業を応援するためMEL(マリン・エコラベル・ジャパン)認証のぶりなどを活用するほか、工場のCoC(加工流通過程)認証の取得も視野に入れる。
内覧会に同席したセブン&アイ・ホールディングスの石橋誠一郎常務執行役員スーパーストア事業統括は関東圏の過去10年間の店舗数が他社と比べて増えていないことを指摘し、今回の共通インフラの拡充により店舗の生産性向上と新商品の投入を進めることでスーパーストア事業の収益を改善する狙いを強調した。
今後、冷凍や味付けといった価値訴求型の生鮮加工品をセブン−イレブンに供給することで、スーパーストア事業の成長を国内外のCVS事業の成長にもつなげる。
今後の取り組みとして24年2月に惣菜の製造と精肉の加工を実施するセントラルキッチン「千葉キッチン」の稼働を予定。26年上期にも新たなグループ共通インフラの稼働を計画していることを明らかにした。
「定貫スライサー」を活用して鮭をカットする
電磁波と磁力を用いて急速凍結する「プロトン凍結機」