神戸物産は温泉熱を利用する野菜の大規模ハウス栽培を北海道で始める。自社所有地で湧き出した温泉を大型ビニールハウス内に循環させる。自社で展開する「業務スーパー」や外食産業、市場向けに野菜を出荷する。大分県でも同様の事業を計画している。
地図を使って泉源の位置を
説明する沼田CEO
北海道南西部の大沼国定公園周辺2カ所で温泉を掘削し、約50℃の泉源を1本掘り当てた。ハウスは1棟の長さが50mで今春から順次建設する。燃料価格の高騰を見越した「エコハウス」と位置付けるとともに、化石燃料を使わず、安全な野菜を低コストで生産できる点を訴求する。当初は100棟でほうれん草やピーマン、トマトなどを栽培する。土地代や温泉掘削代を除く当初の投資額は約1億2000万円を見込んでいる。
大沼では600棟の大規模ハウスで野菜を栽培。温泉を確保しやすい大分県でも事業化を検討中で、標高を生かしてキャベツ、白菜などを栽培する計画。
沼田昭二最高経営責任者(CEO)は「原油高と円安で従来のハウス栽培が難しくなる。国内で調達できる再生可能エネルギー、特に地中熱に注目している」とし、温泉が豊富な日本の地の利を生かした大規模集約農業に取り組む。
沼田CEOは「水産や農産物、畜産などの加工場を相次いで子会社化し、改修を進め、当社がめざす“製販一体”の機能を果たしている。ここ数年は買収のスピードを加速させてきたが、おおよその目処がついた。今年あたりから成果が出始めるだろう」と語っている。