タイの冷食工場シリーズ�ぁ〇�ち味生かす味の素冷食のタイ３社(下)
ＡＢＳ、ＳＰＦポークが２ケタ増、歩留まり向上など改善効果も
高城一彰ＡＦＴ社長兼
ＴＡＢ会長兼ＡＢＳ社長
ＡＢＳは各種トンカツや「やわらか豚串」、「やわらか角煮」などを生産しているが、特色は何と言ってもＳＰＦポークの高い付加価値にある。日本ではＳＰＦポークであるとはうたっていないが、�‘�質のやわらかさ��悪性細菌がいないため臭みがなく��イノシン酸が多くうまみが強いといった品質にそん色はない。
原料のＳＰＦポークを生産するベタグログループはとうもろこしを主体とした飼料を使っており、他の飼料が混ざらないよう専用工場で配合し、抗生物質や赤身形製剤も使わない。飼育するのは東南アジアで初のＨＡＣＣＰ認定養豚場。人はシャワーやプールで菌や汚れを落とし、車は車輪まで消毒しないと農場に入れないという、厳しい管理を行っている。
しかもＡＢＳは隣接するベタグロ・セーフティ・ミート・パッケージから原料肉を搬入するので、品質管理やトレサビも完璧だ。ＡＢＳはベタグロのＳＰＦポークを使用しており、残りはベタグロが「Ｓ−ｐｕｒｅ」のブランドでテーブルミートとしても販売し、健康志向の消費者を中心に受け入れられている。
ＡＢＳの製品、ＳＰＦ豚を原料に一枚肉のカツ(右)や
串カツ(左)を作っており、上手に肉をトリミングすれば
歩留まりが良くなる。このためワーカーのスキル
アップが重要
ＡＢＳの加工もこだわっている。角煮はニーダーを使わず、普通の鍋で煮ている。そうしないと本物の味を出せないという。
ラインは６本。�。泳臚�のロース・ヒレを使うトンカツ�∪�型肉のトンカツ�２板輙僖薀ぅ鵑和腑劵奪半ι覆痢屬海世錣蟷宛菊擇里箸鵑�つ」を生産�ぅ船磧璽魯鵑忙箸�焼豚�ヅ睛箸押⇔掬塚箸歌爿ζ擲兌僉�
様々な製品を生産しているが、「一頭買いなので余剰部位を商品開発でバランスよく使うのが課題」（同社）という。
昨年は「三元豚のとんかつ」の注文が想定の１・５倍にも達して生産が間に合わず、一時期休売した。再開後一時的に販売がふるわなかったが、10月からコマーシャルを再開してからは急激に増えた。
昨年の生産量は月産360t平均。10〜12月は月産400tを超えるペースとなった。今年も二ケタ増のペースが続いている。
他の工場と同様に、改善も急ピッチで進んでいる。肉のトリミングは、以前はテーブルで行っていたが、コンベアを導入し、スキルの高いワーカーを配置。スピードだけでなく歩留まりも高まった。三元豚のとんかつに使えない小さい肉は串カツに使うが、ワーカーが歩留まりのよい切り方を自分で判断できるようになった。早いワーカーはどのような動きをしているかを研究し、効率よく串に肉を刺す動作などを標準化した。
10年からスタートした「改善学校」はその成果が明確に出ている。当初は日本人スタッフが教え、次いで80名ほどのタイのリーダー格が現場に教え、現在は「ボトムアップ活動」の段階。改善を理解した現場から意見をくみあげるとともに、人材の定着のため待遇も改善した。
以前はノウハウ流出を懸念して工場間の技術交流があまり積極的ではなかったが、「いまやそんな事は言っていられない。一つのＡＪＩＮＯＭＯＴＯチームとしてとらえてる」（高城会長）。